この記事では、建築基準法第6条第1項第3号建築物(いわゆる建築士特例の建築物)でかつ都市計画区域外、さらに土砂災害特別警戒区域の場合には確認申請が必要な理由を解説しています。また、補足情報として、土砂災害特別警戒区域を簡単に調べる方法と、土砂災害特別警戒区域線を調べる方法についても解説しています。
なぜ、確認申請が必要なのか
建築基準法第6条第1項第3号の記述には、土砂災害特別警戒区域の記載が見当たらないですよね。なぜなら、その記載は土砂災害防止法(正式名称:土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律,平成12年法律)に記載しているからです。同法では、次のように規定されています。
(特別警戒区域内における居室を有する建築物に対する建築基準法の適用)
第25条 特別警戒区域(建築基準法第6条第1項第3号に規定する区域を除く。)内における居室を有する建築物(同項第1号又は第2号に掲げるものを除く。)については、同項第3号の規定に基づき都道府県知事が関係市町村の意見を聴いて指定する区域内における建築物とみなして、同法第6条から第7条の5まで、第18条、第89条、第91条及び第93条の規定(これらの規定に係る罰則を含む。)を適用する。※出典:土砂災害防止法第25条
したがって、土砂災害特別警戒区域内については、建築基準法第6条第1項第3号の知事指定区域とみなされることとなります。つまり、知事指定区域とみなすことで、都市計画区域内であっても建築確認申請が必要になるということです。なお、この知事指定区域というのは、都市計画区域外、準都市計画区域外、準景観区域外であっても、建築確認申請が必要になるエリアで各県が定めています。一般的には既存集落地などが対象になっています。
このため、都市計画区域外であっても土砂災害特別警戒区域内で建築する場合は確認申請が必要となることに注意が必要です。なお、都市計画区域外のため、集団規定(道路接道、道路斜線、隣地斜線など)は適用されず、通常の確認申請図書よりも記載事項が少なくなります。ただし、後述していますが、土砂災害特別警戒区域内での建築はコストと技術的に困難です。
土砂災害特別警戒区域を簡単に調べる方法

土砂災害特別警戒区域の指定者は、法制度上、都道府県となるため。各都道府県が独自の方法で公表しています。一般的にはホームページ上で告示情報をPDF形式で掲載している方法ですが、これは各都道府県の情報まで辿りつくまでに時間を要しますし、都道府県の一部では非常にわかりにくい階層に掲載情報をリンクしている場合もあり、掲載箇所が統一されていません。
そこで、使いやすいのが国が運営している「不動産情報ライブラリ」です。
ここで、地図表示→防災情報→土砂災害警戒区域を選択することで、どこに土砂災害特別警戒区域が指定されているかがわかります。ただし、注意点があります。都道府県指定からライブラリへの反映までにタイムラグがあるため、場合によっては指定されていてもその情報が反映されていない可能性があります。
次に、地図に落とし込む方法です。
土砂災害特別警戒区域線を調べる方法
実務的には、土砂災害特別警戒区域内で建築することは非常に稀です。なぜなら、建築基準法で定める構造基準(待受擁壁、構造躯体のRC構造、滑動・転倒・堆積への検討)に適合させる必要があるのと、金融的な支援措置がない、建築コストが増大するなど、区域内なら建築しない選択が合理的であり、コストに対しどうしてもその場所で建築しなければならない理由が明確である場合です。このため、区域外に建築するという選択をします。
この区域線、都道府県が公表しているデータは、PDF形式のみで線の座標系情報が非公開になっています。これは、現在の法制度上の課題ともいえ、土砂災害特別警戒区域を指定にあたっては、世界測地系の座標データ等を公表することが指定権者の義務とすべきと考えますが、これに関しては明確に制度の運用課題として国会でも取り上げれることがないことや、実務的な課題が国に吸い上がっていないため、課題自体がごく限定的なため、このような状況になっていると考えられます。
では、どうすればいいか。公図・地番図データと土砂災害特別警戒区域のポリゴンデータを重ね合わせて確認する方法があります。ただし、測量制度の境界データではないことやGISを使用できる方のみが行えます。また、都市計画区域外では公図が未整備(字限図)であることもあるため注意は必要です。
ですが、公図が整っている地域であればある程度の精度があり、区域境界線の目安になります。実務上は、その線よりも安全側を見て離して建築計画すれば良いこととなります。なお、都市計画区域内であれば区域境界線を建築確認図書に明示(設計者責任で線引きの根拠を明示)する必要がありますが、区域外でかつ土砂災害特別警戒区域外に位置して計画するのであれば建築士以外は誰も確認しないという法制度の枠組みなので、その場合であっても配置図には境界線を図示しておくことをおすすめします(後のトラブル回避)。
・公図データ:G空間情報デンター https://front.geospatial.jp/moj-chizu-xml-readme/
・土砂災害特別警戒区域データ:国土数値情報:https://nlftp.mlit.go.jp/ksj/gml/datalist/KsjTmplt-A33-2025.html
この情報を、GISで読み込み、DXFで出力することでCADソフトで開くことができるようになります。
この方法でも位置が明瞭ではない場合は、指定権者である都道府県に対し相談し、境界線の位置を明らかにしてもらう必要があります。現地に杭を設置したり、公図や配置図に境界線を図示する行政サービスを行っていればいいのですが、これは自治体によって対応が異なります。
まとめ
都市計画区域外の3号特例建築物については確認申請は不要ですが、土砂災害特別警戒区域内については、土砂災害防止法第25条の規定により、知事指定区域とみなすことで建築確認申請が必要となります。
また、土砂災害特別警戒区域を調べるには、不動産情報ライブラリの活用が便利です。

