専門資料|コストコ国内37倉庫店の立地条件と都市計画

大型倉庫店と駐車場、高速道路、住宅地、都市圏を俯瞰したコストコ立地分析の16対9アイキャッチ画像
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専門資料|小売立地・商圏・都市計画

「10km圏50万人」だけでは説明できない店舗は、どのような条件で成り立っているのでしょうか。国内全店と米国の通常型倉庫店を、可能な範囲で尺度をそろえて比較し、道路、所得、既存店、物流、土地、都市計画まで調べました。

目次

要旨

本稿は、かつてコストコ日本の公開ページに掲載されていた「半径10kmの人口50万人」等の土地条件を、2026年8月28日時点の国内37倉庫店に照らして確かめた技術資料です。

国内については、夜間人口、従業者、所得、道路時間圏、IC距離、既存店との間隔、公開物流センターからの道路時間、大規模小売店舗立地法の届出、開業前後の都市計画を調べました。米国は通常型622倉庫店の人口、所得、主要道路距離を計算し、うち30店で道路時間圏を比較しています。さらに、Costcoの2025 Form 10-Kから開業年別の平均売上を確認し、同じ分析手順を静岡市宮川・水上地区へ当てはめました。

国内37店の10km圏人口中央値は約53.6万人で、旧条件の50万人に近い値でした。しかし、50万人未満も17店あります。この17店も30km圏では全店が50万人を超え、13店は100万人を超えました。最寄り既存店までの距離中央値も、50万人以上の店舗で約25.4km、未満の店舗で約44.3kmです。近距離人口の薄い店ほど、より広い地域を受け持つ配置になっていました。

現在の用途地域では準工業地域が22店を占めますが、現況だけでは立地までの過程は分かりません。2011年または2019年の過年度用途地域と比較できた25店では、15店が同一、7店が変化候補、3店が判定保留でした。さらに自治体の決定資料、議会会議録、地区計画図書まで遡ると、コストコを名指しする、または進出用途との関係を直接確認できる制度対応が6事例ありました。

20/37店10km圏人口
50万人以上
29/37店最寄りICから
直線5km以内
34/37店立地市町村所得が
全国中央値以上

既存店に共通するのは、広域から客を集められる市場、既存店と離れた位置、物流網への接続、まとまった土地、建築できる法的条件、来店車を処理できる道路です。

人口、所得、IC、用途地域のどれか一つを満たしただけでは、出店可能性を判断できません。自治体が制度や土地を整えても市場性が自動的に高まるわけではなく、市場があっても建築できる土地と道路がなければ具体的な計画には進みません。

研究上の問い

旧立地条件の検証

本稿の第一の問いは、「10km圏50万人」という数字が、国内の既存倉庫店をどこまで説明できるかです。50万人以上の店舗だけを見れば条件が正しいように見え、50万人未満の店舗だけを見れば条件が古いように見えます。そこで、全37店を同じ方法で計算し、条件の成立率と外れる店舗の共通点を分けて確認しました。

第二の問いは、近距離人口が少ない店舗を、ほかのどの条件で説明できるかです。20km・30km圏人口、30分・45分・60分道路時間圏、10km圏従業者、所得、IC距離、最寄り既存店までの距離を順に確認しました。

第三の問いは、十分な市場条件を持つ場所に、実際に倉庫店を建てられる土地がどのようにつくられたかです。現在の用途地域を数えるだけでなく、開業前の指定、区域区分変更、地区計画、土地区画整理、自治体による用地形成を一次資料で確認しました。

記述分析としての位置付け

この分析は、企業内部の出店基準、個別店舗の売上・利益、会員分布、来店者住所、物流原価を推定するものではありません。既存店がどのような場所にあるかを公開情報から示し、候補地を調べるときに何を確認すべきかを整理するものです。

会社全体の開業年別平均売上は決算資料で確認しますが、日本の特定店舗へ割り当てることはしません。「条件を満たしたから出店した」という因果関係や、未出店都市への将来の出店確率も算出していません。

確認済み事実 公式・行政資料に記載 算定値 取得データから再計算可能 解釈 複数の事実と数値からの推論 未確認 一次資料の追加確認が必要

立地を読む五つの段階

単一の人口条件から、実際に建築できる候補地まで

市場人口・所得・雇用
道路時間圏・IC
店舗網既存店との分担
土地・制度大区画・都市計画
交通処理出入口・周辺道路
図1 人口だけで候補地を判定せず、広域からの到達性、既存店の位置、土地、法規制、交通処理の順に確認します。

対象データと指標

国内全37倉庫店

店舗の名称、住所、座標は、2026年8月28日にコストコ日本の公式倉庫店検索から取得しました。夜間人口は2020年国勢調査1kmメッシュ、従業者と事業所は2021年経済センサス1kmメッシュです。市区町村の境界ではなく、店舗を中心とした同じ距離帯で比較しています。

所得は、2023年の課税対象所得を所得割納税義務者数で除した「納税義務者1人当たり課税所得」と、2023年住宅・土地統計調査の年収階級を用いました。前者は納税者ベース、後者は世帯ベースで、意味が異なります。所得額を一つにまとめず、読み分けています。

高速道路は国土数値情報N06の現供用IC・スマートIC、現在の都市計画はA55、店舗面積と駐車台数は都道府県等が公開する大規模小売店舗立地法の届出・店舗名簿を用いました。開業前の用途地域は国土数値情報A29で候補を抽出し、公表する事実は自治体の都市計画図書等で再確認しています。

米国通常型622倉庫店

米国は公式Warehouse Locatorに含まれる655販売拠点から、Business Center 26施設、単独ガソリンスタンド1施設、Home Showroom 6施設を除いた通常型622倉庫店を対象としました。人口と所得は2024年ACS 5年推計、道路は2024年TIGER/Line Primary Roadsです。

2024年ACS 5年推計は、2020年から2024年までの調査を組み合わせた推計値です。日本の2023年課税所得とは、対象年だけでなく、世帯所得と納税者所得という定義も異なります。そのため、日米の金額を直接比べず、それぞれの国内中央値との差を比較しました。

10km圏人口
1kmメッシュと円の交差面積に応じて人口を按分した概算値。実際の顧客分布ではありません。
道路時間圏人口
Valhallaの現在の道路グラフと自動車モデルから算定した到達圏人口。実測渋滞は含みません。
IC距離
店舗点から現供用IC・スマートICまでの直線距離。入口までの実走距離ではありません。
店舗間隔
各倉庫店から最寄りの別の国内倉庫店までの直線距離。ほかの小売業態は含みません。
店舗面積
大店立地法上の小売店舗面積。敷地面積、建築面積、延べ面積とは別の数字です。
現在の用途地域
A55と店舗座標による点判定。法的判断は自治体の最新都市計画図と窓口確認を優先します。

近距離人口と広域商圏

10km圏50万人の成立率

国内37店の10km圏人口中央値は536,043人でした。50万人以上は20店、未満は17店で、成立率は54.1%です。最小は東近江の約13.8万人、最大は尼崎の約318.4万人でした。

メッシュと円の交差面積で人口を配分する方法と、メッシュ中心点が円内にあるかで集計する方法を比べると、平均絶対百分率差は約0.97%、最大でも約2.64%でした。10km圏50万人を数万人単位で大きく動かすほどの差ではありません。既存店の45.9%が条件を下回るという結果は、集計法の違いだけでは説明できません。

10km圏人口による国内37店の分布

2020年国勢調査1kmメッシュ。棒の長さは最多区分13店を100%として表示

25万人未満4店
25~50万人13店
50~100万人9店
100万人以上11店
図2 50万人以上は20店、未満は17店です。50万人は中央値に近い一方、立地を分ける絶対的な境界ではありません。

20km・30kmへの拡張

10km圏で50万人に届かなかった17店を20kmまで広げると、15店が50万人を超え、8店が100万人を超えました。30kmでは17店すべてが50万人を超え、13店が100万人を超えます。

20kmにコストコ固有の法的・企業的な根拠があるわけではありません。ただし、国土交通省資料に示された2021年の乗用車1日当たり走行距離は平日平均20km、休日平均28kmです。30kmだけで説明を完結させず、日常の自動車移動に比較的近い20km圏を先に置くことで、広域商圏を過大に見積もりにくくしています。

木更津は10km圏約17.7万人、20km圏約47.3万人ですが、東京湾を含む30km圏では約663.3万人へ急増します。直線円では海上を越えて人口を拾うため、これをそのまま商圏とはみなせません。地形と道路を反映した時間圏を併用する理由がここにあります。

10km圏50万人未満17店の圏域拡張

各距離帯で、17店がどの人口区分に入るかを比較

50万人未満50~100万人100万人以上
10km
17店
20km
278
30km
413
図3 10kmでは全17店が50万人未満ですが、20kmで15店、30kmでは全店が50万人を超えます。直線圏のため、道路時間圏との照合が必要です。

道路時間圏と店舗間隔

30分・45分・60分圏

現在の道路グラフを用いた国内37店の道路時間圏人口中央値は、30分で1,088,938人、45分で2,856,756人、60分で5,687,344人でした。30分圏で50万人を下回るのは、かみのやまと沖縄南城の2店です。60分圏で100万人を下回るのは、かみのやまと南アルプスの2店でした。

これは「60分かければ何人来る」という来店予測ではありません。現在の道路網を同じ条件で走ったときに、どの程度の人口へ接続できるかを比較したものです。曜日別渋滞、料金選択、信号待ち、開業時の道路網は反映していません。

IC近接と既存店間隔

最寄りIC・スマートICまでの直線距離中央値は約1.80kmでした。3km以内は24店、5km以内は29店、10km以内は35店です。旧条件の「車のアクセス」は、国内店舗に広く共通する特徴として確認できました。

一方、最寄りの別の倉庫店までの距離中央値は、全37店で約32.6kmでした。10km圏人口50万人以上の20店は約25.4km、未満の17店は約44.3kmです。近距離人口が少ない店舗ほど、既存店から離れた広い地域を受け持つ傾向が見えます。

ICへの近さと既存店との間隔

左は国内37店のIC距離帯、右は10km圏人口別の最寄り別店距離中央値

最寄りICまでの直線距離
1km以内12店
1~3km12店
3~5km5店
5~10km6店
10km超2店
最寄りの別の倉庫店まで
10km人口
50万人以上
25.4km
10km人口
50万人未満
44.3km
近距離人口が少ない群ほど、既存倉庫店との間隔が約18.9km長い結果です。
図4 ICに近い店舗が多く、10km圏人口が少ない店舗ほど、別のコストコまでの間隔が広くなっています。
近距離人口の厚さ + 道路で届く広域人口 + 既存店との重複の少なさ

物流センターと店舗網

公開物流拠点からの道路時間

コストコホールセールジャパンの採用ページは、国内物流センターとして千葉県の市原物流センターと兵庫県の三木物流センターを紹介しています。国内外のサプライヤーから商品を集約し、基本的に当日中に各倉庫店へ向けて出発する仕組みです。候補地を考える際には、来店者が使う道路だけでなく、商品を運び込む幹線輸送の位置も切り離せません。

そこで、2物流センターと国内37店を現在の道路網で結び、所要時間の短い方を集計しました。北海道2店と沖縄南城は道路だけで連続しないため時間分布から除き、本州・四国・九州の34店を比較しています。近い方の物流センターまでのモデル時間中央値は2.08時間、市原側は18店、三木側は16店でした。

近い方の公開物流センターまでのモデル道路時間

市原・三木物流センターと道路で連続する既存34店。OSRMの現在道路網による一般車モデル

2.08時間既存34店の
中央値
18店市原物流センターが
時間上近い店舗
16店三木物流センターが
時間上近い店舗
1時間未満6店
1~2時間11店
2~3時間5店
3~4時間3店
4~6時間5店
6時間以上4店
図5 17店が2時間未満、9店が4時間以上でした。店舗網は東西2拠点の近くにだけ集まるわけではなく、長距離幹線輸送を含む配置です。

道路モデルと実配送の区別

この計算は、公開された2拠点のどちらが道路時間上近いかを比べたものです。実際の担当物流センター、便数、積載率、休憩、渋滞、料金、復路貨物、港湾、フェリー、中継拠点は分かりません。OSRMも大型車専用の経路モデルではありません。そのため、配送費や出店可能性を算定する数字ではなく、物流について追加調査が必要な地域を見つけるための一次判定として使います。

人口と所得が十分な都市でも、既存の物流網から大きく外れれば、配送条件は変わります。反対に、物流センターから近いだけで市場が成立するわけでもありません。商圏、既存店との間隔、物流、土地、都市計画を別々に確かめ、最後に全体を判断する必要があります。

所得・雇用・店舗規模

所在市町村の所得

納税義務者1人当たり課税所得は、倉庫店所在市町村の中央値が341.4万円、全国市区町村の中央値が297.6万円でした。37店中34店が全国中央値を上回ります。10km圏人口50万人未満の17店に限っても14店が全国中央値を上回りました。

一方、年収700万円以上世帯の割合は、倉庫店所在自治体の中央値19.68%、全国値19.82%でほぼ同じです。「高所得層マーケット」は一定の方向性を持ちますが、富裕世帯が特別に多い自治体だけへ立地するという結果ではありません。課税所得は非課税者を含まず、店舗所在自治体の値であって道路商圏全体の所得でもありません。

倉庫店立地地域の所得と国内水準

各国の中央値を100とした指数。日米で所得指標の定義は異なります

日本
全国市町村100
立地市町村114.7
341.4万円/全国中央値297.6万円。37店中34店が全国中央値以上。
米国
全米100
店舗10km圏116.4
93,980ドル/全米中央値80,734ドル。622店中460店が全米中央値以上。
図6 金額の直接比較はできませんが、日米とも各国内の中央値を上回る市場に寄る傾向が見えます。

10km圏従業者

2021年経済センサスによる10km圏従業者数は、夜間人口との相関係数が0.93でした。働く人の集積は重要ですが、人口とは別の独立した条件とまでは言えません。それでも、つくば、南アルプス、熊本御船、北九州、石狩など、10km圏人口50万人未満でも従業者15万人を超える店舗があります。夜間人口だけでは見えない、昼間の活動規模を確かめるための補助指標になります。

小売店舗面積と駐車台数

大規模小売店舗立地法の公開資料から店舗面積を確認できた31店の中央値は10,226m²でした。駐車台数を確認できた20店の中央値は770台です。過去に示されていた800台に近いものの、共用駐車場、屋上・立体駐車場、届出変更の時点が異なるため、単純な達成率は出していません。

ここでいう約1万m²は小売店舗面積です。過去に示された敷地1万坪以上、建築面積約4,500坪とは一致しません。敷地面積、建築面積、延べ面積、小売店舗面積を混同すると、土地の必要規模も法規制も誤って読みます。

公開届出から見た店舗規模

大規模小売店舗立地法で確認できた店舗面積31店・駐車台数20店

10,226m²店舗面積の中央値
28/31店9,500~11,000m²
770台駐車台数の中央値
店舗面積
9,500~11,000m²
90.3%
駐車場
700~900台
75.0%
図7 市場規模には幅がありますが、小売店舗面積は約1万m²へ強く集中しています。敷地・建築面積とは別の指標です。

床面積1万m²を境とする規制

建築基準法では、劇場、店舗、飲食店等の用途に供する部分の床面積が1万m²を超える大規模集客施設について、原則として立地できる用途地域が近隣商業地域、商業地域、準工業地域に限られます。1万m²以下の店舗は第二種住居地域、準住居地域、工業地域等にも立地可能ですが、個別の用途制限、特別用途地区、地区計画、条例を確認する必要があります。

大店立地法上の「店舗面積」と、建築基準法・都市計画法制で問題になる「床面積」は定義が同じではありません。届出店舗面積が1万m²前後だからといって、法別表の1万m²以下・超を大店立地法の数字だけで判定することはできません。

表1 店舗用途の規模と用途地域の読み方
規模用途地域の概要追加確認
店舗等の用途部分が1万m²以下第二種住居、準住居、近隣商業、商業、準工業、工業等で可能性地区計画、特別用途地区、条例、建築物用途、開発許可
店舗等の用途部分が1万m²超原則として近隣商業、商業、準工業中心市街地活性化政策に伴う準工業地域の立地制限、地区計画等
用途地域の指定なし区域区分と土地利用規制により扱いが異なる市街化調整区域の開発許可、開発整備促進区、特定用途制限地域等

現在指定の集計

A55と店舗座標を照合すると、準工業地域22店、近隣商業地域4店、工業地域3店、第二種住居地域2店、商業地域1店、用途地域なし・未収録5店でした。過去に示された準工業・商業・近隣商業の3用途に27店が該当します。

現在の用途地域構成

国土数値情報A55と店舗座標による全国統一の点判定

準工業地域22店
近隣商業地域4店
工業地域3店
第二種住居地域2店
商業地域1店
なし・未収録5店
図8 準工業地域が59.5%を占めます。ただし、現在の指定だけでは開業前の都市計画対応を読み取れません。

ただし、A55は法的証明ではなく、集計用の全国データです。境界付近、更新時点、座標位置により自治体の最新図と異なることがあります。かみのやまのように、A55の点判定と自治体一次資料で確認した用途地域が一致しない事例もあるため、個別案件では自治体資料を優先します。

開業前後の都市計画

過年度GISによる候補抽出

2011年より後に開業した25店を対象に、2012~2019年開業店は2011年版、2020年以降開業店は2019年版の用途地域と現在のA55を比較しました。店舗中心点だけでなく周囲50mも確認し、境界のわずかなずれを変化と誤認しないようにしています。

過年度用途地域と現在指定の比較

開業前の過年度データがある25店。店舗点と周囲50mをQGISで監査

15店比較時点と現在で
同じ用途地域
7店用途地域の
変化候補
3店境界・データ欠損等で
判定保留
60%28%12%
図9 変化候補は都市計画変更の入口であり、変更目的の確定ではありません。公表する事実は自治体資料で再確認します。

変化候補は、岐阜羽島、野々市、かみのやま、富谷、熊本御船、群馬明和、沖縄南城でした。この結果は、都市計画変更の理由を証明するものではありません。用途地域が変わった時期と開業時期が近いだけで、「コストコのための変更」とは判断できないからです。

一次資料による確定

候補地について、自治体の都市計画決定資料、審議会資料、議会会議録、地区計画、区画整理資料まで遡りました。直接事例は、資料中にコストコ名がある、進出企業の用途との関係が明記される、または誘致に伴う制度変更が議会等で説明されているものです。先行整備事例は、商業地や地区計画の整備は確認できても、当初の都市計画決定がコストコのためだったとは確認できないものです。

2011年版A29は配布条件上、内部の候補抽出に限って使用しています。旧用途地域ポリゴンや旧データ由来の図表は掲載せず、本文に載せる変更事実は自治体一次資料で再確認しています。

立地可能化の国内事例

表2 都市計画・用地形成を確認した10事例
倉庫店区分確認した制度対応読み方
南アルプス直接事例非線引き・用途地域外で、開発整備促進区を定めた地区計画により大規模集客施設を許容用途地域を指定せず、地区計画で立地可能化
小郡直接事例市街化調整区域の地区計画を変更し、広域集客型施設と地区施設を具体化調整区域地区計画と交通処理の組合せ
群馬明和直接事例市街化区域編入、準工業地域、地区計画、町土地開発公社による造成・引渡し制度・大区画用地・基盤の一体整備
富谷直接事例進出企業の用途に合わせ、市街化区域へ編入し倉庫型店舗部分を準工業地域に指定企業用途と都市計画変更の関係を明記
かみのやま直接事例大規模集客施設を制限する準工業地域から、誘致対象地を近隣商業地域へ変更中心市街地政策と個別誘致の調整
熊本御船直接事例非線引き白地約11haに準工業地域を新設用途地域なしから面的な土地利用を設定
岐阜羽島基盤整備・誘致調整区域地区計画で大規模商業施設を許容し、開業後に市街化区域へ編入誘致は確認、当初決定のコストコ個別性は未確認
野々市先行整備区画整理、市街化区域編入、準工業地域、商業地確保土地形成は確認、変更目的の個別性は断定せず
沖縄南城先行整備IC周辺の用途地域、地区計画、土地区画整理を先行整備進出公表より前の拠点形成
東近江先行整備市街化区域編入、近隣商業地域、地区計画、商業施設立地促進制度商業地整備後に立地連携協定

行政の役割は、「用途地域を変える」だけではありません。区域区分や地区計画で法的条件を整え、区画整理や土地開発公社で大区画をつくり、道路・排水・上下水道等の基盤を用意する。市場を行政がつくったのではなく、市場性が見込まれる場所に残っていた制度・用地・基盤の制約を解いた事例として読むのが適切です。

米国622倉庫店との比較

10kmと10mileの差

米国通常型622店の10km圏人口中央値は242,032人で、50万人以上は86店、13.8%でした。ところが10mile、約16.1kmまで広げると中央値は518,254人となり、50万人以上は316店、50.8%です。

「50万人」という数字だけを日米で共有しても、距離単位が違えば意味は変わります。実店舗の分布では、日本は比較的狭い10km圏に人口が集まり、米国は10mile程度の低密度な自動車市場を取る傾向があります。

日本10kmと米国10km・10mileの人口中央値

人口50万人を同じ物差しに見立てた場合の距離単位による差

日本37店
10km圏
53.6万人
米国622店
10km圏
24.2万人
米国622店
10mile圏
51.8万人
図10 米国も10mileまで広げると50万人がほぼ中央値になります。同じ「50万人」でも距離をそろえなければ比較できません。

国内水準に対する所得

米国622店の10km圏世帯所得中央値は93,980ドルでした。2024年ACSの全米世帯所得中央値80,734ドルを16.4%上回り、460店、74.0%が全米中央値以上です。日本も倉庫店所在市町村の課税所得中央値が全国市区町村中央値を14.7%上回りました。

日米で所得の定義と圏域は異なりますが、どちらも、それぞれの国内水準よりやや所得の高い地域に多い傾向が見られます。「富裕層が多い地域」という説明だけでは足りず、会員制のまとめ買いを続けられる所得水準を、人口や道路条件と併せて読む必要があります。

道路と都市計画の比較

道路距離を取得できた米国617店のうち、555店(90.0%)はTIGER/Line Primary Roadから5km以内でした。5店は道路距離を取得できなかったため、この割合から除いています。ただし、日本はIC、米国はfreeway等を含む主要道路までの距離であり、値の大小を直接比較できません。共通して言えるのは、標準化された大規模倉庫店が、広域道路網から孤立した場所を選んでいないことです。

都市計画制度の名称は異なりますが、日米の行政が解いている問題は似ています。ManhattanのEast River Plazaでは、用途変更、特別許可、街路変更、市有地処分、立体駐車場、道路接続を組み合わせました。El Dorado Hillsの計画では、商業系用途であっても条件付き用途、表示の例外、環境審査、19交差点の交通分析が必要です。用途地域が適合することは、審査の終わりではありません。

表3 日本と米国の主要指標
指標日本米国比較上の注意
対象37店通常型622店米国はBusiness Center等を除外
10km圏人口中央値536,043人242,032人日本2020年国勢調査、米国2024年ACS 5年推計
10km圏50万人以上20店・54.1%86店・13.8%同じ距離で比較
10mile圏人口中央値518,254人10mileは約16.1km
30分圏人口中央値1,088,938人・37店590,026人・標本30店米国は全数ではなく記述標本
所得中央値341.4万円93,980ドル日本は所在自治体の納税者、米国は10km圏の世帯
国内中央値との差+14.7%+16.4%金額ではなく国内相対値
道路5km以内IC 29店・78.4%Primary Road 555店/617店・90.0%米国は5店欠測。道路の定義も異なる

決算資料にみる開業後の売上推移

公開される開業年別平均売上

Costco Wholesale Corporationは上場会社であり、年次報告書や四半期報告書を公開しています。2025 Form 10-Kには、世界の倉庫店を開業年でまとめた「1倉庫店当たり平均売上」が掲載されています。2025年度の全914倉庫店平均は2億7,200万ドル、同年に開業した24店の初年度平均は1億9,200万ドルでした。初年度の数字はCostcoが通年換算しています。

2.72億ドル全914倉庫店の
平均売上
1.92億ドル2025年開業24店の
初年度平均売上
2.40億ドル2020年開業13店の
2025年度平均売上

開業年ごとの推移を見ると、2020年開業店は1億3,200万ドルから2億4,000万ドル、2021年開業店は1億4,000万ドルから2億1,000万ドルへ伸びています。新店も初年度平均で1億ドルを超え、開業後は会員の積み上がり等とともに平均売上が増えています。ただし、物価、為替、出店国、店舗規模の違いも含む数字です。

開業年別にみた1倉庫店当たり平均売上

Costco 2025 Form 10-K。単位は100万ドル。各行を左から右へ追うと、同じ開業年グループの推移を確認できます

140未満 140~179 180~219 220~259 260~279 280以上

スマートフォンでは表を左右に動かせます。太枠は各開業年グループの初年度です。

開業年・店舗数FY17FY18FY19FY20FY21FY22FY23FY24FY25
全倉庫店914店163176182192217245252260272
2016年以前715店165179186197223254263274287
2017年26店121142158176206237247262277
2018年21店116119141172202214231245
2019年20店129138172208216226242
2020年13店132152184193215240
2021年20店140158172187210
2022年23店150158179201
2023年23店151166186
2024年29店170192
2025年24店192
図11 開業後の経過年数とともに平均売上が大きくなる傾向は読み取れます。ただし、物価、為替、出店国、店舗規模、ガソリン、EC、商圏の違いも含むため、売上増加のすべてを店舗の成熟だけで説明することはできません。2017年度と2023年度は53週決算ですが、Costcoが比較用に正規化しています。

個別店舗の収益との区別

2025年度の米国部門は、総収益2,000億4,600万ドル、営業利益68億7,800万ドルでした。しかし、この地域別数字には物販売上だけでなく会費やガソリン等が含まれ、ECや共通費の扱い、新店の営業月数も店舗ごとに異なります。米国・プエルトリコ629店で単純に割っても、「標準的な1店舗の利益」にはなりません。

本稿では、この全社開示の数字を、倉庫店という業態の売上規模と開業後の推移を知る資料として使います。国内37店の人口、所得、道路、都市計画から個別店舗の売上や採算を推定したり、収益順位をつけたりはしません。GIS分析は立地条件を、決算資料は業態全体の規模を説明する資料として、それぞれ分けて扱います。

未出店都市圏との比較

既存店だけを見ていると、店舗の周囲にある共通条件を、すべて成功要因と受け取りかねません。そこで、人口、所得、ICへの近さが既存店と近い水準にありながら、コストコがない15都市圏を対照候補として抽出し、近い既存店との間隔、道路時間圏、土地・都市計画、物流網を調べました。

対照都市圏にも、人口、所得、ICへの近さが既存店と同程度の地点があります。この3条件だけでは、出店の有無を十分に説明できません。既存店と商圏が重ならないか、連続した大区画があるか、ICから店舗までの一般道に余裕があるか、都市計画上建築できるか、物流拠点からどの程度離れているかまで確認する必要があります。

未出店である理由は公表されておらず、将来計画も含みません。対照分析は「出店しない都市」を判定するものではなく、既存店の共通点を必要十分条件と取り違えないための検証です。

静岡市候補地のケーススタディ

出店決定と候補地評価の区別

2026年8月29日時点で、コストコによる正式な出店発表、建築計画、大規模小売店舗立地法の新設届出は確認できません。

宮川・水上地区では、コストコ出店に向けた協議が報じられています。ただし、現段階は正式決定前です。本稿では、協議が続く候補地をケーススタディとして検証します。候補地としての合理性と、企業による出店決定は分けて考える必要があります。

2025年10月には、コストコの出店を念頭に、土地区画整理組合と開発事業者が土地売買で合意したと報じられました。2026年3月には、組合がコストコ側へ進出意向の提示を求めていることも報じられています。いずれもコストコ自身による正式発表ではありません。

宮川・水上地区では、日本平久能山スマートICの供用後、市街化区域への編入、準工業地域、地区計画、特別用途地区、土地区画整理、アクセス道路整備が進められました。2025年には大規模集客施設の例外認定基準も制定されています。行政が特定企業の出店を保証したのではなく、広域集客施設を受け止められる制度と基盤を整えた事例として読みます。

商圏と物流センターの位置関係

日本平久能山スマートICを基準とした道路時間圏人口は、30分で約96.9万人、60分で約238.6万人でした。浜松倉庫店の30分圏と重なる人口はなく、45分圏でも静岡側人口の5.8%です。60分まで広げると33.1%が共通します。短時間で来店する範囲はおおむね分かれますが、広い範囲では浜松倉庫店と一部を共有する結果です。

公開物流センターとの関係では、市原物流センターまで約222km、一般車モデルで約3.06時間でした。道路で比較できる既存34店のうち、短い方から23番目に相当します。浜松倉庫店より市原側へ約62km、モデル時間で約40分近く、「既存物流網から遠すぎる」とまでは言えません。

静岡候補地の市場圏と既存物流網

日本平久能山スマートICを基準とするValhalla道路時間圏と、公開物流センターからのOSRM道路モデル

96.9万人30分道路時間圏
238.6万人60分道路時間圏
3.06時間市原物流センターから
モデル道路時間

浜松倉庫店の同時間圏と重なる人口の割合

30分圏0.0%
45分圏5.8%
60分圏33.1%
図12 30分・45分圏は浜松倉庫店とほぼ分かれますが、60分圏では一部が共通します。道路時間圏は現在の道路網による到達可能人口であり、実際の会員・来店者分布ではありません。

幹線道路と地区内交通

静岡県を発地とする県外向け営業用貨物は72.7%、県外から静岡県へ入る貨物は58.1%が高速道路を利用していました。東名・新東名に接続する位置は広域物流上の強みです。一方、2021年度道路交通センサスでは、スマートICへ直接つながる宮川4号線の混雑度は0.83、隣接する大谷改良区7号線は1.29でした。

混雑度は交通容量に対する交通量の比で、毎日の渋滞回数ではありません。それでも1を超える区間が候補地近くにある以上、来店車、給油車、従業員車、配送車を加える前に、方向別交通量、右折容量、信号現示、入庫待ちを確認する必要があります。スマートICに近いことと、敷地入口まで円滑に到達できることは別の問題です。

大店立地法指針による交通処理

大規模小売店舗立地法には、交通処理を検討するための全国的な指針があります。ただし、道路の混雑度が一定値以下なら出店できる、といった一つの合否基準ではありません。経済産業省の指針を土台に、静岡市の運用細則で必要駐車台数を算定し、周辺への影響が大きい場合には、開店後の交通流を予測したうえで、駐車場の位置、来店経路、出入口、交差点処理等を事前に検討します。

静岡市の指針式へ当てはめると、小売店舗面積10,100m²では、休日のピーク1時間に来店する自動車は約472台、必要駐車台数は670台です。小売店舗面積12,000m²では、約535台/時、793台となります。計算の前提は、人口40万人以上100万人未満の「その他地区」で、日来客数、自動車分担率、平均乗車人員、平均駐車時間を組み合わせたものです。

約472~535台/時は駐車場へ入る来店車の算定値で、特定の道路区間へそのまま上乗せする交通量ではありません。来店方向と経路へ配分し、同じ時間帯の出庫車、給油のみの車、従業員車、配送車を分けたうえで、交差点と出入口ごとに検討する必要があります。道路管理者や警察との協議によって右折車線や信号等が論点になることはありますが、大店立地法が店舗設置者へ周辺の公道整備を一律に義務づける仕組みではありません。

約6haの敷地と施設配置

2024年の土地利用計画図に表示された近接4区画は単純合計5.82haでした。公開情報だけでは連続した一つの建築敷地になるか確認できませんが、約6haという規模感はコストコ型施設の検討範囲に入ります。建物、駐車場、荷さばき、給油所、構内道路、雨水・緑地を置いた比較モデルでは、標準案が5.85haとなり、6haに対する余裕は約0.15haでした。

6haに対する配置モデルの使用面積

実施設計ではなく、建物・駐車場・荷さばき・給油所・構内道路・緑地等を含む比較モデル。横軸上限は7ha

省面積型4.90ha
標準型5.85ha
繁忙期対応型6.73ha
小売店舗面積10,100m² ピーク来店車 約472台/時

必要670台/計画750台

指針式では約80台の余裕
小売店舗面積12,000m² ピーク来店車 約535台/時

必要793台/計画750台

指針式では約43台の不足
図13 標準的な平面配置は約6haで余裕が小さく、売場規模を広げると駐車需要も増えます。屋上駐車場併用モデルでは地上使用面積を約4.63haまで抑えられますが、構造費、スロープ、屋上騒音等の別条件が生じます。

ケーススタディから残る論点

静岡都市圏は、旧立地条件、市場規模、所得、高速道路、物流、都市計画について、公開資料で確認できる条件の多くを備えています。しかし、約6haの連続した土地を形成できるか、周辺道路が繁忙期の交通を処理できるか、コストコが他地域より静岡を優先するかは分かりません。「人口が足りない」「浜松と競合する」「用途地域が合わない」といった一つの理由だけで、候補地を評価することもできません。

自治体が整えるべきものは、特定企業だけに使える制度ではありません。大規模集客施設を許容する法的条件、5~7ha程度の土地、幹線道路から敷地までの接続、700~800台を基礎とする駐車機能、来店車と配送車を分ける構内計画を、出店企業が変わっても利用できる形にしておく必要があります。

国内37倉庫店の基礎データ

以下は、主要な集計結果を店舗単位で確認するための基礎表です。表4は商圏と交通、表5は所得、従業者、店舗規模、都市計画をまとめています。道路時間圏は現在の道路モデル、用途地域は全国データによる点判定です。個別の法的判断には使えません。

10km圏50万人以上50万人未満
QGISで作成したコストコ国内37倉庫店の全国立地図
図14 国内37倉庫店。地図は移動・拡大縮小でき、店舗を押すと10km圏人口、最寄りIC、現在の用途地域を表示します。背景地図は国土地理院。

スマートフォンでは表を左右に動かすと、人口と距離の列を確認できます。

表4 商圏・道路・既存店間隔
No.倉庫店都道府県10km人口
万人
20km人口
万人
30km人口
万人
30分人口
万人
60分人口
万人
最寄IC
直線km
最寄別店
直線km
1石狩北海道49.3173.8231.5103.0257.99.126.2
2札幌北海道63.8197.0243.5203.0285.51.026.2
3富谷宮城県25.8129.9165.7106.5216.00.755.6
4かみのやま山形県20.237.459.436.477.50.655.6
5射水富山県27.277.592.373.6178.60.648.6
6野々市石川県53.079.093.776.0142.72.848.6
7壬生栃木県29.6110.0161.683.9348.21.840.4
8ひたちなか茨城県26.568.492.059.0168.32.956.4
9前橋群馬県63.9138.0206.8117.3327.00.539.7
10群馬明和群馬県25.8138.2310.873.4568.75.439.7
11つくば茨城県26.891.7224.661.9794.34.432.6
12新三郷埼玉県194.1848.21,621.1312.72,083.71.824.6
13入間埼玉県114.2495.21,210.4183.31,117.51.223.3
14千葉ニュータウン千葉県42.6360.9777.9120.7676.514.319.1
15幕張千葉県146.6512.11,099.0381.11,950.41.019.1
16南アルプス山梨県35.153.064.855.199.80.580.7
17多摩境東京都180.4655.01,544.9161.6956.77.914.1
18川崎神奈川県214.0798.11,869.7381.12,300.91.519.4
19座間神奈川県193.3735.21,436.3196.21,534.34.014.1
20木更津千葉県17.747.3663.359.71,726.88.619.6
21金沢シーサイド神奈川県124.1453.1991.2246.01,355.20.319.4
22岐阜羽島岐阜県53.6217.6472.0231.1814.30.730.4
23守山愛知県101.6377.6618.2295.0841.71.930.4
24東近江滋賀県13.853.0107.063.1375.31.348.0
25中部空港愛知県20.487.1338.073.7642.918.344.3
26京都八幡京都府118.5462.5976.0223.91,327.13.617.3
27尼崎兵庫県318.4786.51,110.0527.91,447.12.112.9
28門真大阪府316.2842.91,183.0586.21,506.40.412.9
29浜松静岡県73.0106.4129.688.8225.13.487.6
30神戸兵庫県90.4184.8305.6175.2790.73.336.4
31和泉大阪府80.7240.5527.9142.41,027.10.434.1
32広島広島県97.4155.4185.4135.2200.21.5171.6
33北九州福岡県48.7114.3183.881.9188.96.534.0
34久山福岡県71.9246.8320.2108.9451.02.629.1
35小郡福岡県30.3111.3289.5107.1439.50.229.1
36熊本御船熊本県43.6102.3124.896.2173.50.677.2
37沖縄南城沖縄県25.796.9120.944.9122.66.8786.2

スマートフォンでは表を左右に動かせます。人口は小数第1位、距離は小数第1位に丸めています。

2つ目の表も左右に動かせます。店舗番号は表4と共通です。

表5 所得・従業者・店舗規模・都市計画
No.倉庫店10km従業者
万人
課税所得
万円/人
店舗面積
駐車台数
現在の用途地域
A55点判定
過年度比較
1石狩15.6298.010,511未確認準工業地域同一
2札幌21.0341.0未確認915準工業地域比較対象外
3富谷11.2358.29,983773準工業地域変化候補
4かみのやま10.7266.210,541未確認準工業地域変化候補
5射水14.2310.710,099784なし・未収録判定保留
6野々市31.5335.310,063未確認準工業地域変化候補
7壬生13.6327.410,504704第2種住居地域同一
8ひたちなか12.6351.310,121700準工業地域同一
9前橋36.2347.99,573767準工業地域比較対象外
10群馬明和12.6300.910,503830準工業地域変化候補
11つくば16.0427.110,036736準工業地域同一
12新三郷65.6360.7未確認未確認商業地域比較対象外
13入間42.8335.0未確認未確認なし・未収録比較対象外
14千葉ニュータウン14.0399.29,976未確認準工業地域同一
15幕張60.0397.715,715877準工業地域比較対象外
16南アルプス18.5312.510,494未確認なし・未収録判定保留
17多摩境71.3410.810,076未確認準工業地域比較対象外
18川崎104.3435.411,220未確認工業地域比較対象外
19座間72.7344.9未確認未確認準工業地域比較対象外
20木更津8.7358.610,497620近隣商業地域同一
21金沢シーサイド54.7436.910,052688工業地域比較対象外
22岐阜羽島24.8335.410,130未確認準工業地域変化候補
23守山40.0425.410,515未確認第2種住居地域同一
24東近江7.2314.010,505750近隣商業地域同一
25中部空港8.9334.710,042885準工業地域同一
26京都八幡43.2328.99,509未確認準工業地域比較対象外
27尼崎244.4341.49,762915準工業地域比較対象外
28門真237.9313.9未確認未確認準工業地域同一
29浜松38.3350.710,100未確認工業地域同一
30神戸29.8387.39,822未確認準工業地域同一
31和泉27.3350.2未確認未確認準工業地域同一
32広島57.5367.810,357683近隣商業地域同一
33北九州20.9334.710,226867準工業地域同一
34久山53.7355.413,000737なし・未収録比較対象外
35小郡13.5327.410,505814なし・未収録判定保留
36熊本御船20.2268.510,251794準工業地域変化候補
37沖縄南城8.5271.310,503720近隣商業地域変化候補

「未確認」は公開資料で数値を確定できていない項目です。「比較対象外」は開業年以前の過年度データがない店舗です。

立地条件の整理

高密度都市圏型

川崎、尼崎、幕張、新三郷などは、10km圏だけで多くの人口と従業者を抱えています。その一方で、まとまった土地は限られ、既存店との間隔も短くなります。標準的な平面配置をそのまま置けるとは限らず、複合開発、立体駐車場、周辺道路の交通処理が重要になります。

地方都市広域集客型

東近江、ひたちなか、小郡、南アルプス、群馬明和などは、10km圏人口だけでは大都市圏の店に届きません。IC、30~60分圏人口、既存店との広い間隔が近距離人口を補います。一つの市の人口ではなく、複数市町村や県境を越えた道路商圏を受け持つ位置として読む必要があります。

都市計画・基盤整備型

群馬明和、富谷、熊本御船、小郡、南アルプス等では、都市計画、土地区画整理、用地形成、道路整備が立地までの過程に明瞭に表れています。「行政が誘致した」という結果だけでなく、大規模集客施設を建築できる法的条件と、約1万m²の店舗、駐車場、荷さばき場、給油所を収める土地を、どのように用意したかを見る必要があります。

単一条件では表せない組合せ

10km圏50万人は、国内の典型的な店舗を捉えるには有効です。しかし、それに届かない店舗も、高速道路、広域人口、所得、雇用、既存店との間隔、建築できる土地によって説明できます。反対に、人口と所得が十分でも、連続した土地、適法な用途、来店車を処理できる道路がなければ、候補地としての条件はそろいません。

自治体が検討すべきなのは、「人口50万人を超えたか」ではなく、企業が広域市場として評価できる場所に、建築可能な土地と道路を現実に用意できるかです。

市場性を確かめずに都市計画の変更だけを先行させるのも、現在の用途地域だけを見て候補から外すのも適切ではありません。市場、競合、物流、土地、都市計画、交通を順に確認し、公開資料だけでは分からない点を明示する必要があります。

分析上の限界

  1. 人口統計、従業者、所得、道路、都市計画の基準年は一致していません。開業時点の市場を再現した時系列分析ではありません。
  2. 10km人口は1kmメッシュ内に人口が均等に分布すると仮定した面積按分です。道路、地形、競合、会員分布を含む実商圏ではありません。
  3. 道路時間圏は現在のOSM由来道路網とValhallaの既定自動車モデルです。実測渋滞、料金抵抗、開業時道路網、季節変動を含みません。
  4. 物流センターとの道路時間はOSRMの一般車モデルです。実際の配送担当、便数、大型車規制、休憩、渋滞、料金、復路貨物、船便、中継拠点を含みません。
  5. 所得は、日本では店舗所在自治体の納税者指標、米国では店舗周辺統計区の世帯所得です。日米の金額は直接比較できません。
  6. 現在の用途地域はA55と店舗座標による点判定です。境界、収録時点、店舗座標のずれがあるため、建築可否は自治体の最新図書と窓口で確認する必要があります。
  7. 過年度用途地域は変更候補の抽出です。変更目的の確定は自治体一次資料に限り、時系列が近いだけの事例は直接事例に含めていません。
  8. 店舗面積、敷地面積、建築面積、延べ面積、建築基準法上の用途部分の床面積は別の指標です。本稿では混同しないよう出典別に扱っています。
  9. 開業年別の1倉庫店当たり平均売上は全社決算で公開されていますが、個別店舗の売上、利益、会員数、実来店圏、配送費は非公開です。本稿から個別都市の出店確率や採算性を断定することはできません。
  10. 静岡市の配置モデルと駐車需要は、公開された面積と大店立地法指針・静岡市運用細則による比較試算です。測量、権利関係、地盤、造成、雨水、設計、交通影響評価を経た事業計画ではありません。ピーク来店車の算定値は、特定道路の増加交通量ではありません。
  11. 静岡市候補地の事業状況は2026年8月29日時点です。公開資料で確認できる条件を評価したもので、コストコによる出店決定や将来計画を示すものではありません。

資料と再現方法

再現スクリプトと中間データは、本記事の制作フォルダ内に保存しています。人口、道路、所得、物流、都市計画、大店立地法、静岡ケースの結合結果を分けて保持し、事実・算定値・解釈を追跡できる構成です。公開データの更新時には、基準年と取得日を更新したうえで再計算します。

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この記事を書いた人

▷一級建築士,建築基準適合判定資格者(建築主事試験),宅地建物取引士,建築物省エネ適合性判定員など
▷建築関連法規や都市計画法規などに関することや、都市計画・公共交通・住宅政策などが得意分野です。
▷コンサルタント依頼はこちらから(https://visasq.co.jp)

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