勝田駅前だけでは見えない、まちなかの住まい方

勝田駅周辺の実際の空中写真。国土地理院の地理院タイルを加工。
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勝田駅周辺といえば、駅前のマンションを思い浮かべる方も多いと思います。では、駅の南側や西口の住宅地まで含めると、どのような住まい方が見えてくるのでしょうか。今回は、町ごとの住宅の違いを調べてみました。

町丁別の国勢調査を見てみると、石川町は共同住宅に住む世帯が96.5%、南西側に近接する春日町は一戸建てが89.9%でした。近接する町で、これほど構成が異なるのは興味深いと思います。駅周辺をひとまとめにした数字だけでは、この違いは分かりません。

そこで、勝田駅の東西と南側の10町を、道路・鉄道の地図と重ねてみました。この記事で見ていくのは、マンションやアパートの多い町、戸建ての多い町、各町と駅・公共施設の位置関係です。住宅の割合に加えて、鉄道や道路、図書館などの配置から、勝田のまちなかで暮らす場所の特徴を考えてみたいと思います。

住宅の数字は2020年10月1日時点のものです。いま募集中の物件数や、現在の建物の状況を調べた記事ではありません。持ち家と賃貸の両方を含め、間借りの世帯を除いた「主世帯」で比べています。

目次

駅の東西と、湊線に沿う南側の町

勝田駅、工機前駅、金上駅、常磐線・湊線と周辺の道路・建物を重ねた地図。勝田駅から東へ昭和通りが延びる。
道路や建物を残した位置関係の地図。常磐線は青緑、湊線は茶色で表示。背景は地理院タイル、鉄道は国土数値情報(2025年)を使用。画像をタップすると拡大できます。

地図中央の西寄りにあるのが勝田駅です。東口から東へ延びる通りが昭和通りです。東口側に勝田中央があり、その南側に勝田泉町・表町・石川町、さらに春日町・青葉町・大成町が並びます。石川町は西側で表町、南側で青葉町に隣接しています。線路の西側は勝田本町。駅の北東側には元町・共栄町があります。

南側の住宅地を考えるうえでは、湊線の駅も重要です。湊線は勝田駅から南へ延び、工機前駅を過ぎて南東の金上駅へ向かいます。春日町や青葉町、大成町の位置は、勝田駅だけでなく、工機前駅・金上駅との位置関係も合わせて確認すると分かりやすいと思います。

ただ、地図で近くに見えることと、実際に歩きやすいことは別です。駅の出入口、線路を渡れる場所、信号の位置によって道のりは変わります。今回は徒歩時間を計算していないので、「駅から何分」とはせず、町と交通の位置関係を見る地図として使っています。

駅周辺10町では、約6割が共同住宅

ひたちなか市全体では、共同住宅に住む世帯は31.6%。今回選んだ10町では63.3%でした。市全体と比べると、およそ2倍の割合です。数字の上でも、この範囲はアパートやマンションで暮らす人の多い場所といえます。

共同住宅には、高層マンションだけでなく、2階建てのアパートも含まれます。そこで建物の階数別にも比べてみました。共同住宅の割合が近い町でも、建物の規模には違いがあります。

住宅の建て方別の世帯割合。石川町は6階建て以上の共同住宅がほとんどを占め、春日町は一戸建てが約9割。勝田本町は低層・中層・高層の共同住宅と戸建てが混在する。
割合の分母は主世帯。共同住宅は建物全体の階数で分類しています。たとえば11階建ての建物の2階に住む世帯も「6階建以上」に含まれます。

10町を足すと主世帯は3,445世帯で、そのうち共同住宅が2,179世帯、一戸建てが1,243世帯です。一戸建ての割合も36.1%あります。共同住宅が多い地域ですが、戸建て住宅も一定の割合を占めていることが分かります。

近接する石川町と春日町の住宅構成

勝田駅周辺10町の共同住宅割合を、道路・建物・鉄道に重ねた地図。石川町96.5%、春日町10.1%、勝田本町62.1%、大成町30.7%。
色は各町の共同住宅割合です。個々の建物の種類や、色の範囲全体に住宅があることを示すものではありません。町境界・住宅統計は2020年、鉄道は2025年、背景地図は2026年9月29日取得。画像をタップして拡大できます。

石川町では599世帯のうち578世帯が共同住宅で暮らしています。さらに、その578世帯のうち577世帯は6階建て以上の建物です。石川町では、6階建て以上の共同住宅に住む世帯が大部分を占めています。

石川町の南西側に近接する春日町は、109世帯のうち98世帯が一戸建て。共同住宅は11世帯で、すべて1・2階建てでした。石川町と春日町は近接していますが、住宅の建ち方は対照的です。

南東側の大成町も、一戸建てが597世帯のうち413世帯、69.2%を占めます。共同住宅の183世帯も、すべて5階建て以下です。石川町と比較すると、戸建てや低・中層の共同住宅に住む世帯が中心です。

この比較から、駅周辺の住宅地を、駅までの距離だけで説明するのは難しいと考えられます。近接する町でも住宅の種類や建物の規模が異なるためです。住む場所を検討する際にも、駅からの距離に加えて、周辺の住宅構成を確認すると、その町の特徴を把握しやすいと思います。ただし、こうした違いが生まれた理由については、建設時期や土地利用の変遷を調べる必要があります。

西口・勝田本町に混在する戸建てと共同住宅

勝田駅西口に位置する勝田本町では762世帯のうち473世帯、62.1%が共同住宅です。共同住宅の割合は高いものの、その階数別の構成は石川町と異なります。

共同住宅の473世帯を分けると、1・2階建てが94世帯、3〜5階建てが196世帯、6階建て以上が183世帯。共同住宅の約6割は、5階建て以下の建物に住む世帯です。一戸建ても281世帯あります。勝田本町では、戸建てと、規模の異なる共同住宅が混在していることが分かります。

地図では、勝田本町と東口側の町の間に鉄道が通っています。同じ勝田駅を使うとしても、自宅から駅へ出る道や、東側の施設へ向かう経路は違います。住む場所を考えるなら、駅名と距離に加えて「駅のどちら側で日常を過ごすか」も確認しておきたいと思います。

住宅地と図書館・交流施設の位置関係

住宅構成に加えて、日常的に利用できる施設の配置も確認してみます。元町には現在の中央図書館、石川町には子育て支援・多世代交流施設のふぁみりこらぼがあります。ふぁみりこらぼは、子育てだけでなく、研修室などを使う地域活動の場所でもあります。

また、市が2025年9月に公表した新中央図書館の基本設計では、石川町の東石川第4公園内に、公園と一体となる図書館を計画しています。建物内だけでなく、屋外で休憩できる広場や、歩いて通り抜けられる園路も盛り込まれています。ここでは、完成後の状況ではなく、基本設計に示された計画を紹介しています。

新中央図書館の計画地は、共同住宅の割合が高い石川町にあります。その周辺には、戸建ての多い春日町や大成町などの住宅地もあります。駅を利用する人に加え、建ち方の異なる周辺住宅地から、日常的に利用する人も想定されると考えられます。図書館へのアクセスは、駅からの経路と、各住宅地からの経路の両方を確認することが大切だと思います。

ただし、住宅の世帯数だけで図書館の利用者数を予測することはできません。今回確認できたのは、計画地の周辺に住宅地があり、町ごとに住宅構成が異なることです。買い物や散歩の途中にも立ち寄りやすいかを考えるには、歩道や横断箇所、施設の出入口の配置も調べる必要があります。私は、建物の計画と合わせて、こうした周辺の移動環境にも注目したいと思います。

昭和通りの彫刻と駅周辺の散策

地域外から勝田を訪ねる人には、昭和通りの彫刻を巡る散策もよいと思います。市の案内では、勝田駅から市役所入口へ向かう約1kmの歩道に、16基の彫刻が点在すると紹介されています。彫刻を鑑賞しながら歩ける点は、昭和通りの魅力の一つだと思います。

駅前を訪れた際には、昭和通り沿いの施設に加えて、南側の住宅地との違いにも関心を持ってもらえたらと思います。今回の地図は、お店や観光スポットを紹介するものではありませんが、マンションの多い町と戸建ての多い町の位置関係を知る手がかりになると思います。

今回分かった、勝田のまちなかの特徴

勝田駅周辺の選定10町では共同住宅の割合が高い一方、戸建て中心の町も近接しています。市全体との比較に加え、町丁別に見ることで、この違いを確認できました。

石川町は高層の共同住宅、春日町は戸建て、勝田本町はさまざまな高さの共同住宅と戸建て。駅周辺に一つの住まい方が広がっているわけではありません。図書館や交流施設、駅へ向かう道は、こうした違う住宅地の人たちが使う場所です。

私は、駅周辺に異なる住宅構成の町があることは、勝田での暮らしを考えるうえで興味深い特徴だと思います。ただし、このデータだけで、住まいの選択肢が豊富だとまではいえません。実際に住む場所を選ぶなら、物件の供給状況や価格に加え、各住宅地から駅や公共施設までの移動のしやすさを合わせて確認することが必要だと考えられます。

県北の駅と町の関係に関心がある方は、日立の町と5つの駅を地図と歴史で見た記事もどうぞ。日立市全体の市街地と駅の関係を取り上げています。

10町の数字とデータの範囲

町主世帯共同住宅一戸建て
共栄町20972.2%27.8%
元町8342.2%55.4%
勝田中央18478.3%18.5%
勝田泉町42874.3%24.8%
表町14059.3%39.3%
春日町10910.1%89.9%
石川町59996.5%3.5%
青葉町33460.8%39.2%
大成町59730.7%69.2%
勝田本町76262.1%36.9%
2020年10月1日。主世帯は世帯数、右の2列は主世帯に対する割合。長屋建・その他があるため、右の2列を足して100%にならない町があります。

対象は共栄町、元町、勝田中央、勝田泉町、表町、春日町、石川町、青葉町、大成町、勝田本町です。市の計画区域や駅から一定距離の範囲ではなく、駅の東西と南側にある10町を選びました。この選び方によって合計の割合は変わるため、63.3%を勝田駅周辺全域の値とすることはできません。

統計は総務省統計局「令和2年国勢調査」小地域集計・茨城県、第8-1表(2022年2月10日公表)を使用。「主世帯」は、住宅に住む一般世帯から間借りの世帯を除いたものです。住宅に住む一般世帯はこの10町で3,483世帯、建て方別に比べる主世帯は3,445世帯。比率の分母を後者にそろえ、建て方別の合計と一致することを確認しています。対象10町に秘匿・合算処理はありません。

町境界はCODH「国勢調査町丁・字等別境界データセット」の2020年データを加工し、町丁字コードで結合。鉄道は国土数値情報(2025年)、道路・建物の背景とアイキャッチの空中写真は地理院タイルを加工しています。地図・写真の取得日は2026年9月29日で、道路の調査日や写真の撮影日を示すものではありません。写真を2020年の住宅統計の直接確認には用いていません。

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この記事を書いた人

▷一級建築士,建築基準適合判定資格者(建築主事試験),宅地建物取引士,建築物省エネ適合性判定員など
▷建築関連法規や都市計画法規などに関することや、都市計画・公共交通・住宅政策などが得意分野です。
▷コンサルタント依頼はこちらから(https://visasq.co.jp)

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