日本人・外国人が増減した自治体(2020年-2025年,関東地方)

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※トップ画像:2025年1月現在の最新の外国人比率(外国人人口/自治体の総人口)

先日、あるメディアで「東京では日本人よりも外国人が増えている」という趣旨の発言を耳にしました。この発言は、一見すると分かりやすいものです。しかし、自治体の人口変化を考える場合、東京とはどの範囲を指すのか、また「増えている」とは増加率のことなのか、それとも増加数のことなのかを分けて見る必要があります。

東京とは、東京都を指すのか、東京特別区を指すのか、あるいは1都3県としての東京圏を指すのか。さらに、人口といっても、日本人住民と外国人住民では自治体ごとに異なる変化が生じています。

そこで本稿では、2020年と2025年の自治体別人口データを用いて、関東地方における日本人住民・外国人住民の人口変化を整理します。対象は関東地方に加えて、静岡県・山梨県・長野県も含め、増加率、増加数、外国人住民比率、比率の変化という複数の指標から確認します。

なお、本稿は特定の属性を評価するものではありません。自治体の人口構成がどのように変化しているのかを、住民基本台帳に基づくデータから確認することを目的としています。

目次

日本人人口・増減数および増減率(2020年→2025年)

増加率順位都県自治体2020年日本人人口2025年日本人人口増加数増加率
1東京都中央区159,887174,851+14,964+9.4%
2千葉県流山市192,530208,455+15,925+8.3%
3茨城県つくば市227,556245,091+17,535+7.7%
4千葉県印西市101,289108,339+7,050+7.0%
5長野県北佐久郡御代田町15,36716,248+881+5.7%
6長野県北佐久郡軽井沢町19,84420,824+980+4.9%
7東京都台東区186,674195,752+9,078+4.9%
8山梨県中巨摩郡昭和町19,73720,607+870+4.4%
9群馬県北群馬郡吉岡町21,48822,399+911+4.2%
10神奈川県海老名市131,841137,043+5,202+3.9%
表1 日本人住民の人口増加率が高い自治体トップ10
総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告」に掲載された2025年人口および2020年人口をもとに、関東地方および山梨県・静岡県・長野県の自治体について、日本人住民の増加率が高い順に整理した。

まず、日本人住民の人口変化を確認します。

日本人住民の増加率上位を見ると、中央区・台東区のような東京の都心居住型の自治体と、流山市・印西市・つくば市・海老名市のような東京圏郊外、あるいは東京圏外の成長自治体が並びます。さらに、御代田町・軽井沢町・昭和町・吉岡町のような首都圏外縁・地方圏寄りの自治体も上位に入っています。

ここから分かるのは、日本人住民の増加が東京中心部のみで起きている事象というわけではないということです。都心居住の増加と、郊外・広域生活圏における人口増加が同時に見られます。

とりわけ、つくば市と流山市が上位に入っている点は特徴的です。両市はつくばエクスプレス沿線の自治体であり、鉄道アクセス、住宅供給、子育て世帯の流入などと関係している可能性があります。

増加数順位都県自治体2020年日本人人口2025年日本人人口増加数増加率
1埼玉県さいたま市1,287,1681,315,796+28,628+2.22%
2茨城県つくば市227,556245,091+17,535+7.71%
3千葉県流山市192,530208,455+15,925+8.27%
4東京都中央区159,887174,851+14,964+9.36%
5東京都江東区490,814502,124+11,310+2.30%
6神奈川県川崎市1,468,6221,479,291+10,669+0.73%
7東京都台東区186,674195,752+9,078+4.86%
8千葉県柏市415,171424,248+9,077+2.19%
9東京都墨田区261,917270,322+8,405+3.21%
10東京都品川区387,804395,776+7,972+2.06%
表2 日本人住民の人口増加数が大きい自治体トップ10
総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告 2025年(令和7年)結果」に掲載された2025年人口および2020年人口をもとに、関東地方および山梨県・静岡県・長野県の自治体について、日本人住民の増加数が大きい順に整理した。

次に、日本人住民の増加数を見ると、増加率とは少し違う地域が見えてきます。増加率では中小規模自治体の伸びが目立ちやすい一方、増加数では、さいたま市、川崎市、江東区、柏市、品川区のように、人口規模の大きい都市や都心近接地域が上位に位置します。

一方で、つくば市、流山市、中央区、台東区、墨田区のように、増加率でも上位に入っていた自治体も見られます。これらは、割合としても、実数としても日本人住民が増えている地域といえます。

このように、増加率は「人口規模に対する伸びの大きさ」を示し、増加数は「実数としてどれだけ増えたのか」を示します。同じ人口増加でも、率で見るか数で見るかによって、目立つ自治体は変わります。

減少数順位都県自治体2020年日本人人口2025年日本人人口減少数減少率
1静岡県静岡市687,573658,905-28,668-4.17%
2神奈川県横浜市3,650,7393,626,654-24,085-0.66%
3神奈川県横須賀市395,092371,536-23,556-5.96%
4東京都江戸川区661,907645,638-16,269-2.46%
5長野県長野市371,868357,966-13,902-3.74%
6茨城県日立市175,844162,119-13,725-7.81%
7静岡県沼津市190,346180,066-10,280-5.40%
8群馬県前橋市328,988318,767-10,221-3.11%
9千葉県市原市269,285259,202-10,083-3.74%
10栃木県宇都宮市512,166502,238-9,928-1.94%
表3 日本人住民の人口減少数が大きい自治体トップ10
総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告 2025年(令和7年)結果」に掲載された2025年人口および2020年人口をもとに、関東地方および山梨県・静岡県・長野県の自治体について、日本人住民の減少数が大きい順に整理した。

次に、日本人住民の減少数を見ると、人口規模の大きい都市が上位に入りやすくなります。静岡市、横浜市、横須賀市、江戸川区、長野市、日立市、沼津市、前橋市、市原市、宇都宮市のように、一定の人口規模を持つ都市が上位に並びます。

ここで重要なのは、減少率と減少数も同じではないということです。減少率では山間部や外縁部の小規模自治体が目立ちやすい一方、減少数では人口規模の大きい都市が上位に出やすくなります。

たとえば、横浜市は日本人住民の減少率だけを見ると大きく見えにくいですが、減少数では上位に入ります。これは、人口規模が大きい自治体では、割合としては小さくても、実数としては大きな変化になることを示しています。

外国人口・増減数および増減率(2020年→2025年)

順位都県自治体2020年外国人比率2025年外国人比率変化外国人増減数
1長野県北安曇郡白馬村11.7%18.3%+6.6pt+631
2神奈川県足柄下郡箱根町5.3%11.3%+5.9pt+611
3群馬県吾妻郡草津町4.9%10.5%+5.6pt+323
4長野県下高井郡野沢温泉村6.8%12.1%+5.3pt+180
5長野県北安曇郡小谷村6.9%11.3%+4.4pt+113
6茨城県北相馬郡利根町2.3%6.6%+4.3pt+652
7茨城県結城郡八千代町5.7%9.7%+4.1pt+800
8茨城県坂東市4.9%8.7%+3.8pt+1,876
9群馬県利根郡昭和村5.7%9.3%+3.6pt+227
10千葉県富里市5.6%8.6%+3.0pt+1,492
表4 外国人住民比率の変化が大きい自治体トップ10
総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告 2025年(令和7年)結果」に掲載された2025年人口および2020年人口をもとに、関東地方および山梨県・静岡県・長野県の自治体について、外国人住民比率の変化が大きい順に整理した。

次に、外国人住民の人口変化を確認します。

外国人住民の増加率を見ると、2020年時点の外国人住民人口が少ない自治体が上位に入りやすくなります。数人から数十人規模の増加でも、もともとの人口が小さい場合には、増加率としては大きく表示されるためです。そのため、外国人住民の増加率を見る場合には、増加率だけでなく、2020年時点の外国人住民人口と増加数をあわせて確認する必要があります。

一方で、外国人住民比率の変化を見ると、上位には観光地・リゾート地としての性格を持つ自治体と、農業・製造業・物流などの地域産業との関係が考えられる自治体が並びます。

白馬村、箱根町、草津町、野沢温泉村、小谷村は、観光地・温泉地・山岳リゾートとしての性格を持つ自治体です。これらの地域では、2020年時点ですでに外国人住民比率が一定程度高く、2025年にかけてさらに上昇しています。

一方、利根町、八千代町、坂東市、昭和村、富里市は、観光地というよりも、農業、製造業、物流、空港周辺地域などとの関係が考えられる自治体です。特に坂東市や富里市は、外国人住民比率の上昇だけでなく、外国人住民の増加数も1,000人を超えており、比率と実数の両方で変化が見られます。

このことから、外国人住民比率の上昇は、大都市だけでなく、観光地・リゾート地、農業・製造業・物流と関係する地域にも表れていることが分かります。

増加数順位都県自治体2020年外国人人口2025年外国人人口増加数増加率
1神奈川県横浜市104,033126,744+22,711+21.8%
2千葉県千葉市28,22039,375+11,155+39.5%
3神奈川県川崎市45,67755,850+10,173+22.3%
4東京都足立区34,04043,996+9,956+29.2%
5東京都江戸川区38,17247,932+9,760+25.6%
6埼玉県川口市38,76448,161+9,397+24.2%
7東京都板橋区28,78237,481+8,699+30.2%
8東京都江東区31,02139,561+8,540+27.5%
9東京都北区23,55031,471+7,921+33.6%
10埼玉県さいたま市26,97734,704+7,727+28.6%
表5 外国人住民の人口増加数が大きい自治体トップ10
総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告 2025年(令和7年)結果」に掲載された2025年人口および2020年人口をもとに、関東地方および山梨県・静岡県・長野県の自治体について、外国人住民の増加数が大きい順に整理した。

外国人住民の増加数を見ると、増加率とは異なる自治体が上位に入ります。

増加率の上位には、2020年時点の外国人住民人口が少ない小規模自治体も多く含まれます。一方、増加数で見ると、横浜市、千葉市、川崎市、足立区、江戸川区、川口市、板橋区、江東区、北区、さいたま市のように、人口規模が大きく、東京圏に位置し、すでに一定の外国人住民人口を持つ都市が上位に並びます。

これは、外国人住民の増加についても、率と数で見える地域が異なることを示しています。特に、横浜市、川崎市、千葉市のような大都市では、増加率は極端に高くなくても、増加数としては大きな値になります。また、足立区、江戸川区、板橋区、江東区、北区、川口市など、東京圏の生活圏に位置する自治体でも、外国人住民が実数として大きく増えています。

外国人住民比率が高く、さらに上昇した自治体(日本全国)

横軸:2020年外国人比率,縦軸:外国人人口変化率(2020→2025)
都道府県自治体2020年外国人比率2025年外国人比率変化外国人増加数
北海道余市郡赤井川村14.1%35.3%+21.3pt+348人
北海道虻田郡ニセコ町11.8%19.0%+7.2pt+417人
長野県北安曇郡白馬村11.7%18.3%+6.6pt+631人
北海道虻田郡倶知安町14.8%21.2%+6.4pt+1,130人
北海道虻田郡留寿都村14.5%19.8%+5.2pt+98人

ここでは補足として、全国の自治体を対象に、2020年時点で外国人住民比率が高く、さらに2025年にかけて比率が上昇した自治体を確認します。

横軸を2020年の外国人住民比率、縦軸を2020年から2025年にかけての外国人住民比率の変化とした散布図を見ると、右上に位置する自治体が確認できます。これは、2020年時点ですでに外国人住民比率が高く、さらに2025年にかけて比率が上昇した自治体を示します。

横軸10%以上、縦軸5ポイント以上の自治体を見ると、赤井川村、ニセコ町、白馬村、倶知安町、留寿都村が該当します。

これらはいずれも、2020年時点で外国人住民比率が高く、さらに2025年にかけて比率が大きく上昇した自治体です。特徴的なのは、これらが大都市ではなく、国際観光地・リゾート地域としての性格を持つ点にあります。

赤井川村、ニセコ町、倶知安町、留寿都村は、北海道の国際リゾート地域として見ることができます。白馬村も、長野県の山岳リゾートとして国際的な滞在需要と関係している可能性があります。

このような自治体では、単に人口規模が大きいから外国人住民が増えているというよりも、観光、宿泊、リゾート開発、長期滞在需要など、地域の産業構造や立地条件と関係して外国人住民比率が高まっていると考えられます。

まとめ

本稿の分析から分かるのは、人口変化が、自治体ごとに大きく異なるということです。

日本人住民の増加率では、中央区、流山市、つくば市、印西市など、都心居住や成長郊外としての性格を持つ自治体が上位に入りました。一方、日本人住民の減少数では、静岡市、横浜市、横須賀市、江戸川区、長野市、日立市など、一定の人口規模を持つ都市が上位に入ります。

つまり、日本人住民の増減は、関東地方全体で均等に起きているのではありません。都心部・成長郊外で増加が見られる一方、外縁部や一定規模の都市では減少も見られます。

また、増加率と増加数では見える地域が異なります。増加率では中小規模自治体の伸びが目立ちやすい一方、増加数ではさいたま市、つくば市、流山市、中央区、江東区、川崎市など、人口規模が大きい都市や住宅供給が進む地域が上位に入ります。これは、人口変化を読む際に「率」と「数」を分けて見る必要があることを示しています。

外国人住民についても同様です。増加率では、2020年時点の外国人住民人口が少ない自治体が上位に入りやすい一方、増加数では横浜市、千葉市、川崎市、足立区、江戸川区、川口市、板橋区、江東区、北区、さいたま市など、大都市や東京圏の生活圏に位置する自治体が目立ちます。

特に、江戸川区のように、日本人住民の減少数が大きい一方で、外国人住民の増加数も大きい自治体があります。このような自治体では、日本人住民と外国人住民で異なる人口変化が同時に生じていることが分かります。

さらに、外国人住民比率の変化を見ると、大都市だけでなく、観光地・リゾート地、農業・製造業・物流と関係する地域でも比率の上昇が見られます。白馬村、箱根町、草津町、野沢温泉村、小谷村のような観光・リゾート型の自治体と、利根町、八千代町、坂東市、昭和村、富里市のような産業・物流・農業との関係が考えられる自治体が並ぶ点は特徴的です。

以上を踏まえると、人口変化は「日本人が増えた」「外国人が増えた」という一つの表現だけでは捉えきれません。対象範囲、増加率、増加数、外国人住民比率、比率の変化を分けて確認することで、地域ごとの人口変化の違いがより明確になります。次回以降、機会があれば、全国版やより詳細な分析結果をブログにアップしていきたいと考えています。

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この記事を書いた人

▷一級建築士,建築基準適合判定資格者(建築主事試験),宅地建物取引士,建築物省エネ適合性判定員など
▷建築関連法規や都市計画法規などに関することや、都市計画・公共交通・住宅政策などが得意分野です。
▷コンサルタント依頼はこちらから(https://visasq.co.jp)

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