【排煙設備】施行日と改正履歴。定期調査報告に必要な情報まとめ

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定期調査報告業務や査察業務において頻繁に使用する「排煙設備の設置(施行令第123条の2)」の施行日と改正履歴をまとめています。

排煙設備が規定されたのは、1968(昭和44年)の特別避難階段の附室(旧施行令第123条第3項第一号)が最初です。その後、現在の技術的基準にとりまとめられたのが、1971年(昭和46年)1月1日からになります。これ以前に着工した建物には、排煙設備の技術的な基準が整っていない時期に該当するため排煙設備が設置されていない可能性があります。

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施行年月日概要
1971(昭和46)年1月1日排煙設備規定の施行
1974(昭和49)年1月1日・第2項(排煙別棟規定)
 常時閉鎖式、煙・熱感知、遮煙性能・くぐり戸等が追加
 従前は、耐火構造又は煙感知器連動の随時閉鎖防火戸(甲・乙)
1987(昭和62)年11月16日・第1項第一号に”共同住宅の住戸200㎡”が追加
(高さが31m以下の部分にある共同住宅の住戸にあつては、200㎡)
・第1項第二号に”学校等”が追加
 なお、改正前は学校又は体育館のみ
1993(平成5)年6月25日・第1項第一号に”準耐火構造”が追加
・第2項(排煙別棟規定)に”準耐火構造”が追加
耐火構造の床 → 耐火構造若しくは準耐火構造の床
2000(平成7)年6月1日・第1項第一号から”高さ31m 以下の部分にある”が削除
2005(平成12)年6月1日・第2項に排煙告示第1436号が規定
(旧昭和47年建設省告示第33号等)
2015(平成27)年4月1日・第1項第一号の学校に”幼保連携型認定こども園を除く”が追加
2020(令和2)年4月1日・第2項(排煙別棟規定)
 第2項が同項第一号及び第二号に枝分かれ
 第一号:排煙告示と大臣認定
 第二号:排煙別棟規定
2024(令和6)年4月1日・第2項第二号(排煙別棟規定)
 大臣認定の”当該区画”の文言が”床若しくは壁又は防火設備により分離”に変更

法別表第一(い)欄(1)項から(4)項までに掲げる用途に供する特殊建築物で延べ面積が500平方メートルをこえるもの階数が3以上で延べ面積が500m2をこえる建築物(建築物の高さ31m以下の部分にある居室で、床面積100m2以内ごとに、間仕切壁、天井面から50㎝以上下方に突出したれ壁その他これらと同等以上に煙の流動を妨げる効力のあるもので不燃材料で造り、又はおおわれたもの(以下「防煙壁」という。)によつて区画されたものを除く。)、第116条の2第1項第二号に該当する窓その他の開口部を有しない居室又は延べ面積が1,000平方メートルをこえる建築物の居室で、その床面積が200m2をこえるもの(建築物の高さ31m以下の部分にある居室で、床面積100m2以内ごとに防煙壁で区画されたものを除く。)には、排煙設備を設けなければならない。ただし、次の各号の一に該当する建築物又は建築物の部分については、この限りでない。

第一号 法別表第一(い)欄(2)項に掲げる用途に供する特殊建築物のうち、耐火構造の床若しくは壁又は甲種防火戸若しくは乙種防火戸で区画された部分で、その床面積が100m2以内のもの
第二号 学校又は体育館
第三号 階段の部分、昇降機の昇降路の部分(当該昇降機の乗降のための乗降ロビーの部分を含む。)その他これらに類する建築物の部分
第四号 機械製作工場、不燃性の物品を保管する倉庫その他これらに類する用途に供する建築物で主要構造部が不燃材料で造られたものその他これらと同等以上に火災の発生のおそれの少ない構造のもの
第五号 建築物が開口部のない耐火構造の床若しくは壁又は煙感知器と連動して自動的に閉鎖する構造の甲種防火戸若しくは乙種防火戸で区画されている場合においては、その区画された部分は、この節の規定の適用については、それぞれ別の建築物とみなす。

昭和46年1月1日時点の施行令第126条の3

補足①として、排煙設備の設置が求められる特殊建築物等の建築物については、居室・非居室問わず全ての室で排煙設備が必要です。例外として、風除室や機械製作工場などへの設置を不要とする考え方は「防火避難規定の解説」に記載されています。

その他、排煙規定制定当時は、給湯室やボイラー室、エレベーターホール、階段、便所、パントリー、倉庫・書庫、更衣室、機械室、電気室は設置不要とする考え方が「編集: 日本建築センター,監修:建設省住宅局建築指導課,排煙設備技術基準(昭和50年), 新日本法規出版株式会社,」に記述されていましたので、排煙設備がルール化された昭和47年代頃は、火災の発生の恐れの少ない”室”には排煙設備が設置されていない可能性があります。

補足②として、H12年建設省告示第1436号の前は、昭和47年制定の建設省告示第30号、第31号、第32号、第33号により運用されていました。例えば、現在も頻繁に使用する戸建て住宅床面積200㎡以下は排煙不要とする排煙告示は昭和47年建設省告示第33号に規定されていました。旧告示の内容が第1436号に引き継がれています。よく、「H12建設省告示第1436号の前は基準が無かったの?」と質問を受ける機会があるのですが、昭和47年1月に公布された告示により運用されていたというのが回答になります。

補足③として、H12年建設省告示第1436号である「排煙設備の設置を要しない火災が発生した場合に避難上支障のある高さまで煙又はガスの降下が生じない建築物の部分を定める件」は、2005年、2015年、2018年、2019年、2020年、2024年に改正が行われています。さらに、2025年11月1日にも改正が予定されています。こちらは、緩和規定となっており、近年のカーボンニュートラルの推進もあり、木造促進を図るためのルールの合理化(=緩和)が行われます。

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この記事を書いた人

▷一級建築士,建築基準適合判定資格者(建築主事試験),宅地建物取引士,建築物省エネ適合性判定員など
▷建築関連法規や都市計画法規などに関することや、都市計画・公共交通・住宅政策などが得意分野です。
▷コンサルタント依頼はこちらから(https://visasq.co.jp)

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