この記事では今年7月にJR東日本から公表された2022年度(令和4年4月1日〜令和5年3月31日)の駅利用者数(乗車人数*乗降者数ではない)に関して考察しています。
先に結論から、2022年度はコロナによる活動自粛が一定程度緩和され消費喚起策が実施されるなどした影響により人の移動が増えたことで、常磐線沿線の駅利用者数が回復しました。こちらがコロナ禍前の2018年度-2022年度の推移のデータとなります。
2022年度の乗車人数(主要駅)
2018年度比で見ると、最も回復しているのは仙台圏の「原ノ町」や「相馬」でそれぞれ0.89,0.88という結果となりました。また、東京圏側でみると水戸駅が最も回復して0.84 という結果でした。一方で回復基調が鈍いのが「日立」や「高萩」で0.74という結果でした。
駅名 | 2018年度 (a) | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 (b) | 2018年度比 (b/a) |
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水戸 | 29,889 | 29,172 | 22,175 | 22,843 | 25,161 | 0.84 |
勝田 | 13,485 | 13,586 | 9,904 | 9,877 | 10,878 | 0.81 |
東海 | 5,071 | 5,055 | 4,021 | 3,982 | 4,180 | 0.82 |
大甕 | 9,525 | 9,600 | 7,601 | 7,555 | 7,856 | 0.82 |
常陸多賀 | 6,844 | 6,653 | 5,409 | 5,202 | 5,454 | 0.80 |
日立 | 11,175 | 10,789 | 8,822 | 8,213 | 8,306 | 0.74 |
高萩 | 2,775 | 2,643 | 2,179 | 2,063 | 2,053 | 0.74 |
磯原 | 1,759 | 1,697 | 1,360 | 1,337 | 1,395 | 0.79 |
植田 | 1,852 | 1,831 | 1,652 | 1,543 | 1,511 | 0.82 |
泉 | 2,449 | 2,335 | 1,787 | 1,783 | 2,011 | 0.82 |
湯本 | 2,021 | 1,915 | 1,483 | 1,451 | 1,582 | 0.78 |
内郷 | 1,017 | 980 | 840 | 813 | 838 | 0.82 |
いわき | 5,872 | 5,690 | 4,251 | 4,197 | 4,662 | 0.79 |
四倉 | 610 | 617 | 503 | 473 | 502 | 0.82 |
原ノ町 | 1,024 | 1,031 | 838 | 847 | 913 | 0.89 |
相馬 | 1,144 | 1,121 | 841 | 906 | 1,009 | 0.88 |
2023年度の予測
2023年度は、コロナに関して感染症法上の位置づけを令和5年5月8日から「5類」に引き下げたことで人の移動がさらに活発になったことからさらに回復すると考えられます。
特に夏祭りイベントは常磐線沿線の市町において活発に行われたこともあり駅利用者数が戻ってきていることは確かです。
また、2023年度はJ2に昇格した「いわきFC」効果により前半期におけるJR湯本駅の駅利用者数が増加していると考えられることから、災害等による影響を受けない限りは2018年度付近まで回復するのではないかと考えられます。
とはいえ、人口減少と少子化に伴い鉄道利用者自体の減少傾向に強く影響を受けることが考えられるので、いずれ減少に伴う本数の減便は避けられないかもしれないです。
なお、各自治体ではコンパクトシティの形成や駅周辺での市街地再生などを行い過度に自家用車に依存することのない効率的な市街地に再編する動きが進んでいます。
このため都市政策が上手くいけば10~20年の中長期的には減少傾向は緩やかになるのではと考えられます。このブログを読まれている皆様もできる限り自家用車依存のライフスタイルから少しでも転換することをお勧めしたいです。