先日(令和6年3月26日)、国土交通省から令和6年1月1日時点の地価公示が公表されました。この記事では、国土交通省から発表された地価公示の情報をもとにいわき市内の地価動向を簡潔に解説しています。
- 住宅地の平均価格は、44,200円/㎡となり、前年に比べてマイナス-100円/㎡(平均変動率はマイナス0.1%)となった。
この結果は、福島市の平均変動率1.1%(平均価格は49,800円/㎡)、郡山市の平均変動率4.0%(62,400円/㎡)よりも低い。理由としては昨年発生した水害によるいわき市内郷地区の一部での地価下落の要素が大きい。 - 商業地の平均価格は、63,700円/㎡となり、前年に比べてプラス1,700円/㎡(平均変動率はプラス2.0%)となった。
この結果は、福島市の平均変動率1.8%(平均価格は81,800円/㎡)よりも高く、郡山市の平均変動率5.1%(118,400円/㎡)も低い。
なお、3市ともに主要な駅前での市街地再開発プロジェクトが進んでおり、特に郡山市では積極的な中心市街地への公共投資を行っており郡山都市圏を含めて変動率が大きい結果となった。 - いわき市の住宅地で最も高い地点は、平字作町三丁目1番6で、地価は81,900円/㎡(変動率マイナス0.7%)であった。
- いわき市の商業地で最も高い地点は、平字三町目28番で、184,000円/㎡(変動率プラス5.7%)であった。
- いわき市の住宅地で最も下落率が高い地点は、内郷内町前田37番15で、マイナス8.3%(34,100円/㎡)であった。この内郷内町は令和5年に浸水被害が発生した地域となっている。
いわき市の住宅地で最も高い地点
平字作町三丁目1番6(たいら あざ さくまち)は都市計画上は第二種住居地域に該当しており、県道小名浜平線の幹線道路から1街区東側に位置する。
いわき駅から新川沿いまでは商業地域に指定されているが、この作町や三倉(イオンが立地する場所)については第二種住居地域となっている。
第二種住居地域は、住居系であるもののほぼ商業地域と遜色ない用途地域として、住宅系の用途の他、中規模の商業施設や小規模工場などの立地が可能となっている地域。
いわき市の商業地で最も高い地点
平字三町目28番は、いわき駅の国道399号線に面した土地。用途地域は商業地域で市内の商業地域の中でも最も指定容積率が高く600%(高度利用地区を除く)に指定されている。
容積率600%とは、例えば敷地面積が1000㎡であれば、床面積6,000㎡(建蔽率が100%であれば6階建て)までの建築物の建築が可能。
令和元年台風被害を受けた平窪の地価動向
令和元年に発生した大規模な水害を受けた平下平窪(たいら しもひらくぼ)では、令和2から令和4年にかけて大幅に下落したものの、令和5年及び令和6年では下げ止まりの傾向がみられる。水害発生前と比べると、 約27%下落(59,300→43,300)している。
年 | 公示地価(円/㎡) | 変動率 |
---|---|---|
平成31年1月 | 59,300 | – |
令和2年1月 | 55,300 | -6.7% |
令和3年1月 | 49,500 | -10.5% |
令和4年1月 | 45,500 | -8.1% |
令和5年1月 | 44,000 | -3.3% |
令和6年1月 | 43,300 | -1.6% |
令和5年台風被害を受けた内郷内町地区の地価
内郷内町(地点:内郷内町前田37番15)では、下落率マイナス8.3%(37,200→34,100)となり、大幅な下落なった。過去に発生した令和元年台風被害を受けた平窪では約5年間で27%程度の下落があったことから、今後の物価上昇の程度にもよるが同様な下落傾向となることが想定される。
いわき市内で変動率が高かった地点
変動率がプラスであった地点
順位 | 標準地 | 地区 | 変動率 (%) | 公示地価 (円/㎡) |
---|---|---|---|---|
1 | 平字三町目28番 | 平(いわき駅前) | +5.7 | 184,000 |
2 | 平字童子町4番10 | 平(いわき駅前) | +5.7 | 93,000 |
3 | 平六町目3番12内 | 平(いわき駅前) | +5.1 | 82,800 |
4 | 泉もえぎ台1丁目25番8 | 泉 | +4.3 | 48,000 |
5 | 平字正内町90番 | 平 | +3.8 | 76,900 |
6 | 平谷川瀬1丁目12番19 | 平 | +3.7 | 88,000 |
7 | 泉滝尻3丁目28番19外 | 泉(泉駅前) | +2.8 | 54,500 |
8 | 内郷御厩町久世原227番外 | 内郷(水害外) | +2.3 | 49,400 |
9 | 小名浜字辰巳町29番5外 | 小名浜 | +2.2 | 46,000 |
10 | 小名浜大原小滝町19番4 | 小名浜 | +2.1 | 49,200 |
10 | 小島町2丁目10番11 | 平 | +2.1 | 72,800 |
変動率がマイナスであった地点
順位 | 標準地 | 地区 | 変動率 (%) | 公示地価 (円/㎡) |
---|---|---|---|---|
1 | 内郷内町前田37番15 * | 内郷 | −8.3 | 34,100 |
2 | 平赤井字笹目田10番3外 *令和元年水害地域 | 平 | −1.9 | 31,900 |
3 | 平赤井字田中2番5 *令和元年水害地域 | 平 | −1.8 | 33,000 |
4 | 平下平窪3丁目4番5 *令和元年水害地域 | 平 | −1.6 | 43,300 |
5 | 平下高久字川和久55番1外 *市街化調整区域 | 平 | −1.5 | 13,300 |
まとめ
全国平均でみても全用途平均・住宅地・商業地のいずれも3年連続で上昇しており、この傾向は地方圏においても同じ状況です。
特に地方圏では商業地の上昇率が伸びている状況です。これは全国的に地方都市圏の主要な駅前等で実施されている市街地のリニューアル(市街地再開発や都市公園等の再生)が進んでいることが大きな要因の一つといえます。
いわき市も同様にいわき駅前では市街地再開発プロジェクト(大規模マンション、中小規模の商業施設、オフィス)や駅北での病院移転が進んでいることから商業地の変動率は上昇しています。
プロジェクトの進行に伴い今後も上昇傾向は進むと想定されます。ただし、駅前でのオフィスやテナントの空室率の状況次第によっては上昇傾向は高止まりする可能性もあります。
また、住宅地でみると良好な商住の環境がそろっている泉や平谷川瀬(たいら やがわせ)においては上昇傾向にある。
いわき駅から南側に広がる商業地・住宅地、泉駅周辺の住宅地については良好な居住環境の他、利便性の高い施設が立地していることもあり今後も上昇傾向が続くかと考えれます。また、小名浜の旧市街地(イオンモールいわき小名浜の背後地)でも上昇傾向が見られます。
その一方で、郊外の住宅地である四倉や植田、湯本、ニュータウンなどの市街地では上昇傾向は見られず一部では下落している状況が続いています。特にニュータウンについては、住宅地平均よりも高い地価のエリアであるにも関わらず下落率が1%を超えている地点があります。とはいえ、今後、ニュータウンについては高久地区でスマートタウンの整備が進められていることから、商業やオフィスの立地次第によっては下げ止まりする可能性はあります。
それでは以上となります。いわき市内での土地取引や土地の将来性についてお悩みの方はぜひご相談(サービスページはこちら)ください。