【令和5年版】社会増減率の高い東北地方の都市ランキング(1〜10位)

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この記事では、「住民基本台帳」に基づく近年の「社会増減率」から東北地方で社会増が進んでいる自治体をピップアップしてみました。

また、1位の自治体については、都市計画区域(概ねの都市経済圏)との関連についても触れています。東北地方の市町村の特性が分かるのでぜひ!(注)自治体名の隣の「%」は令和5年1月1日時点,人口規模の小さい自治体は母数が少ないためランキングから除外

社会増減:住民の転入数と転出数の差(2022年1月1日→2023年1月1日)

目次

1位 福島県西郷村 1.09%

2023.1.1人口
2013.1.1人口
社会増減数社会増減率所属都市圏*2022.3.31時点
20,317人(+304)
20,013人
221人1.09%県南都市計画区域
中心市:白河市
都市圏人口:約12万人
福島県西郷村の人口動態 *社会増減率:2022.1.1-2023.1.1

西郷村は白河市の西側に隣接している村で駅は新白河駅(新幹線及び東北本線)です。所属している都市圏は、隣接する白河市を中心とする「県南都市計画区域」で、都市圏の中では白河市に次いで人口が多い自治体なのが特徴です。

最近では、株式会社TOKIOさんの新プロジェクト「TOKIO-BA」が西郷村で始動したとしてニュースにもなっていました。(参考記事:https://www.vill.nishigo.fukushima.jp/soshiki/somuka/koho/3829.html)

新幹線駅があるため東京駅までは約1時間10~30分程度(朝の通勤時間は時間3本運行)で、西郷村の通勤通学率を見ると首都圏への通勤者が一定数います。

令和2年国勢調査結果によると就業者・通学者数総数12,606人のうち、栃木県へは488名、埼玉県へは9名、東京都へは37名(約0.3%)となっています。ちなみに最も割合が大きいのは白河市で3,254人(約26%)となっています。

西郷村の人口動態(社会増減率)をみると10年前の人口は20,013人(2013.1.1)となっており、現在と比べると304人と微増です。社会増減数のみでみると約10年間で一度もマイナスになったことはなく、一貫して社会増を実現し、その率は仙台都市圏並みの増加率を達成しています。

総人口も2003年は19,028人でしたが、約20年間で1.3千人増加しています。

年(1月1日時点)社会増減数総人口
2023221人20,317人
202246人20,201人
202158人20,254人
2020183人20,291人
2019149人20,165人
201851人20,116人
201781人20,112人
2016161人20,086人
201518人19,959人
201458人19,986人
2013382人20,013人
2013-2023合計1,408人
200377人19,028人
西郷村の社会増減数・総人口の推移

西郷村が人口増加している理由(都市計画の視点)

令和2年国勢調査結果に基づく5年前の居住地をみると、同一都市圏から599人(最も多いのが白河市:477人)、東京・埼玉から137人となっています。つまり、白河市(人口約6万人)から人口が移動しています。
*2023年1月1日時点での白河市の社会増減数は▲237人

白河市のような旧城下町の土地は、権利関係が複雑であったり狭隘な道路などに面しているなどの理由で土地の流動性が低いのが課題です。

そのため、宅地開発が簡単な郊外へ住宅地が拡大していく傾向にあります。今回のケースでは隣接している西郷村は白河市に比べて未利用地が多かったこと、さらに新幹線駅整備がされ、かつ駅周辺の宅地整備が進められこともあって人口増につながっているのではと考えられます。

・新幹線駅整備に伴い新たに宅地が供給されたこと。
・非線引きのため郊外の白地地域を簡単に宅地化できたこと。
・白河市に隣接しており(市街地が連続し白河と一体化)白河市からの移住者を増えせたこと。

一方で、非線引きのため都市計画が有効に機能しているとは言いにくく宅地整備を適切にコントロールしないと、将来のインフラ負担の増加、災害の誘発、過度な自家用車依存などの、現在多くの地方都市が抱えている課題に直面する可能性があることに留意は必要です。また、白河を中心とする都市圏全体で見れば人口が減少しているためマクロ的な視点での都市計画が求められている状況です。

西郷村と白河市をそれぞれ別の自治体で見れば西郷村は社会増となっていますが、都市計画的には二つの自治体は一つの市とみなされるような都市構造であるのは確かです。とはいえですが、西郷村としては、首都圏へのアクセス性が良い新幹線駅があり、宇都宮や大宮、都内まで比較的近い位置にあること。

お隣の避暑地として人気の那須に比べれば土地を手に入れやすいという面では魅力的な自治体の一つかと考えられます。白河同様標高も比較的高い位置にあるため夏期は涼しめです。

2位 宮城県大和町 0.62%

2023.1.1人口
2013.1.1人口
社会増減数社会増減率所属都市圏*2022.3.31時点
28,179人(+1,522)
26,657人
175人0.62%仙塩広域都市計画区域
中心市:仙台市
都市圏人口:約144万人
宮城県大和町の人口動態 *社会増減率:2022.1.1-2023.1.1

大和町は富谷市の北側に隣接している町で鉄道交通がないのが特徴です。所属している都市圏は、東北最大の「仙塩広域都市計画区域」となります。

令和2年国勢調査結果によると、就業者・通学者総数14,247人のうち自家用車の利用が11,503人(約81%)となっており、自家用車依存度の高い町です。また、仙台まではおよそ20kmほど離れているものの、約4,000人が仙台市へ通勤・通学を行っています。

工業団地には有名企業の工場が多く立地していることから第二産業従事者も多いものの、仙台市への通勤・通学する方のベットタウンとしても機能していることが分かる町です。

3位 山形県東根市 0.56%

2023.1.1人口
2013.1.1人口
社会増減数社会増減率所属都市圏*2022.3.31時点
47,982人(+624)
47,358人
267人0.56%東根都市計画区域
中心市:東根市(単独)
都市圏人口:約4.7万人
山形県東根市の人口動態 *社会増減率:2022.1.1-2023.1.1

東根市は天童市の北側に隣接している市です。所属している都市圏は、東根市単独の都市計画区域です。

県庁所在地である山形市からは約25kmほど離れているためギリ通勤圏内かなとは思いますが現時点で都市計画区域は別となっています。ですが、おそらく山形のベットタウンとして機能している可能性があるため国勢調査結果を調べてみました。

令和2年国勢調査結果によると、通勤・通学者総数30,762人のうち、他市町村への通勤等で最も割合が大きいのは山形市で3,008人、続いて、隣の天童市で2,893人という結果でした。

他市町村での従業・通学者総数が10,535人ですので、約3割が山形へ移動していることになります。

全体で見ても9.8%ですので、約1割が山形へ従業・通学しているのは山形市を中心とする山形広域都市計画区域(都市圏人口:約34万人)を構成する市の一つになっていると言っても良いです。

4位〜10位

順位市町村名2023.1.1人口
2013.1.1人口
社会増減数社会増減率所属都市圏*2022.3.31時点
大河原町23,578人(-95)
23,673人
131人0.55%仙南広域都市計画区域
中心市:白石市等
都市圏人口:約14万人
*実質的に仙台都市圏
仙台市1,067,486人(+28,964)
1,038,522人
5,828人0.55%仙塩広域都市計画区域
中心市:仙台市
都市圏人口:約144万人
名取市79,630人(+6,465)
73,165人
366人0.46%仙塩広域都市計画区域
中心市:仙台市
都市圏人口:約144万人
亘理町33,270人(-637)
33,907人
136人0.41%亘理都市計画区域
中心市:亘理町(単独)
都市圏人口:約3.3万人
*実質的に仙台都市圏
多賀城市62,204人(+412)
61,792人
226人0.36%仙塩広域都市計画区域
中心市:仙台市
都市圏人口:約144万人
紫波町33,049人(-995)
34,044人
118人0.36%紫波都市計画区域
中心市:紫波町(単独)
都市圏人口:約3.1万人
*実質的に盛岡都市圏
10北上市92,056人(-1,404)
93,910人
273人0.30%北上都市計画区域
中心市:北上市(単独)
都市圏人口:約9.2万人
東北地方において社会増減率の高い自治体 *社会増減率:2022.1.1-2023.1.1

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この記事を書いた人

▼水戸〜日立〜いわき〜仙台エリアまでの常磐線沿線都市での生活・ビジネス・まちづくりに役立つ情報・サービスを届けています
▼不動産・建築・都市計画
▼主な活動範囲:水戸〜いわき(相馬+仙台)
▶︎これまでの”都市づくり”の常識を覆し、わたし達が住む地域を住みやすさを世界1位にすることを目的に活動しています。 

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