自治体が整備する公営住宅こそ、コンパクトシティと連携・整合を図る必要があるのでは?という話。

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こんにちは。ポールシフトの代表で建築士で都市計画が専門のkeenです^ ^

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今回の話は、ちょっと複雑でナイーブな課題なのですが、わたし達を応援してくれる方々には知ってもらいたいのと、これからのまちづくりを考えるキッカケになって欲しいので書いていきます。

目次

公営住宅の立地場所の問題

公営住宅は県営住宅・市町村営住宅があります。どちらも所得が低い方々のための居住環境を確保するため自治体が整備するものです。根拠法は、公営住宅法です。公営住宅法第1条に次のように書かれています。

(この法律の目的)
第一条 この法律は、国及び地方公共団体が協力して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し、これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸し、又は転貸することにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とする。

公営住宅法第1条

法律に”低廉な家賃”でとあります。つまり、とても低い金額という事です。

当然、相対的に所得が低い方々が居住されます。

そのため、立地場所による消費行動の不利益(移動コスト)が生じないよう、なるべく生活利便性の高いまちなかに立地する方が経済合理性が高くなります。あたり前の話ですが、移動にはコストがかかるので、所得が低いからこそ移動コストはなるべく低く押さえたいとする心理があります。

当然、嗜好品である自家用車を持たない方もいるでしょうし、反対に自家用車は必須だと考えている方もいるでしょう。(工場勤務の場合ですと、工場までの公共交通が行き届いていない可能性があるので、自家用車が必須の場合もあると考えられます)

少しだけイメージして欲しいのですが、公営住宅の立地場所ってどうですかね。

公営住宅の場所をイメージしてみてください。そして、公営住宅の外観をイメージしてみてください。

郊外にありませんか?もちろん街中にある公営住宅もありますが、公営住宅をイメージすると郊外の団地や公共交通が不便な市街化区域の縁辺部に立地しているケースが目立ちませんか。その上、外観や機能が時代に合っておらず、いかにも公営住宅という外観で、仕方なく住むという感じ。

どうしても地価が低い場所が選択されやすい傾向にあるため、鉄道や路線バスが不便な地域(駅やバス停まで距離が遠い)であり、暮らすには車が必須と思われる場所があります。

ところで、家計調査における車の維持費を知っているでしょうか。

総務省が行っている「家計消費状況調査」によると世帯あたりの年平均で約15万円前後とされています。つまり、この金額+健康を無駄にしているということ。

この価値+健康による異なる部分への消費を促す機会になると思います。

近年は公共施設の再編・集約が進んでおり、国の方針(公共施設等総合管理計画など)もあってコンパクトにまとめようとする動きが加速しています。

その中で、まちなかの公営住宅を無くしてしまうことで、街中の公営住宅居住者を郊外に移住するようになれば、それこそ所得の低い方々にとっては生活が不便になる可能性が高まるため、移住が容易ではなくなると思います。

まちなか居住のメリット

時代的にまだ、街中での商店街や小規模スーパーがかろうじて残っていると思います(既にまちなかの商店街が消滅して、完全に郊外に移動する必要がある地域も存在する)

所得の低い方々は、郊外への移動コストを抑えることで、本来、移動に生じるコストを別のコト(教育や自己啓発など)に投資することが可能になりますし、まちなかでの消費が増加することで、個店が立地しやすくなります。

ちょっと話が逸れてしまったのですが、伝えたいことは、本来、経済合理的にまちなかに居住した方が良いと考えられる方々が郊外に居住せざるを得ない状況になっている(今後、なる可能性がある)ことに、わたし達は危機感を持つ必要があるということ。

当然、公営住宅に住んでいる方を”努力不足”と思っている方も一定数はいるのは分かります。努力してきた人にとって、努力せずに現状に甘んじている人を許せない気持ちも十分に分かります。

・・・しかしながら、そうした考えを持つ方も、様々な状況に置かれた方が一つの社会で幸福を感じられ、暮らしていける都市をつくることが多様性のある社会をつくる上で大切な心の持ち方なのかなと思ったりします。努力した人もしない人(できない人)も含めて許容する社会をつくっていく必要があると思うんですよね。(余談でした。)

まちづくりの話に戻します。

立地適正計画(コンパクトシティの形成)と整合が図られていない

現代のコンパクトシティとは、市街地に焦点をあてて、フリンジの部分(市街地の縁辺部)やスポンジ化(市街地でも歯抜けで空き家や空き地が増加)の課題を解決し、主に人口密度を維持することで、医療や福祉、商業といった都市機能を維持していくことが目的となっています。

広がり過ぎた市街地をコンパクトにしていこうとする計画です。
*ポイントは市街地であるという点。

当然、市民生活に関係する公共施設(庁舎や文化・教育施設、住宅施設)は、まちなかにあった方が便利です。

便利だからこそ、移動コストにお金をかけることが経済合理性に欠く方々を日常生活に必要な機能が揃っていない郊外に住む選択をせざるを得ない状況になっていることが、都市の課題解決になっていないと考えられます。

こうした不均衡の部分にこそ税金を使って、居住地選択を自由にかつ、まちなかでの居住を促す機会をつくっていく必要があると考えています。

それから、今はダサい公営住宅は街の景観を悪くするので、公営住宅だからこそ建築的魅力と機能を充実させていかないといけないと思いますw

繰り返すと、公営住宅を再編・集約していくのなら、まちなかの医療や福祉、商業等がそろった地域を最優先に立地場所として選択していくことが、都市の課題解決の一歩になると考えられます。

ということで以上となります。参考になりましたら幸いです。

それではまた〜〜♪

*タイトル写真:Cedric YongによるPixabayからの画像

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この記事を書いた人

▼水戸〜日立〜いわき〜仙台エリアまでの常磐線沿線都市での生活・ビジネス・まちづくりに役立つ情報・サービスを届けています
▼不動産・建築・都市計画
▼主な活動範囲:水戸〜いわき(相馬+仙台)
▶︎これまでの”都市づくり”の常識を覆し、わたし達が住む地域を住みやすさを世界1位にすることを目的に活動しています。 

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