2023年11月6日(月)に新常磐交通株式会社、ジェイアールバス関東株式会社及び東日本旅客鉄道株式会社の3者からプレス発表がありました。
それが、「福島県浜通り・県南地区における「地域連携 IC カード」を利用した IC 乗車サービスの提供について」です。この発表は福島県浜通り地方の方々にとっては朗報です。
地域連携ICカードとは、JR東日本が展開しているサービスのこと。
各地域の路線バス事業者が運行するバスの定期券や各種割引などの地域独自サービスの機能に加えて、Suica エリア及び Suica と相互利用を行っているエリアで利用可能な乗車券や電子マネーなどのSuica サービスが1枚で利用可能となるサービス。
つまり、一般の路線バスでもSuicaを使用できるようになる。
また、サービス上は、鉄道と路線バスの共通定期券をSuicaとすることができるようになります。ちなみに、地域連携ICカードでJR東日本が2021年3月からスタートしたサービスで、東北・関東地方の主要都市で導入が進んでいます。
福島県浜通りでのサービス開始予定は2024年春を予定しているため2024年4月のダイヤ改正にあわせて導入させると考えられます。
新常磐交通ではこれまでバスカードや現金のみの支払いでしたので、SuicaカードやSuicaを入れたスマートフォンでの決済が可能となることから、バスの乗車に不安を覚えている人も乗りやすくなるのではと考えられます。今後は、GTFSというGoogleマップ上で乗り換え案内ができるようになるサービスを導入することでより使いやすくなるはずです(運用コスト的に大変でしょうけど頑張って欲しいところ)
路線バスの利便性が向上
意外にもバスの乗車に不安を抱えている人って結構いるんですよね…
特に多いのが「小銭の用意」や「バス運賃の見方」に不安を感じてしまい、路線バスを交通手段から外してしまっている。ところが、そうした方々も一度、路線バスを利用すると意外と便利であることに気づいたりします。
それを普段利用しているスマートフォンや電子マネーを使うことが可能にすることで、バスの乗車ハードルが下がると考えられます。将来的な利用者増につながったり路線バスの利便性の改善にもつながるのが良い点です。いわき市や浜通りの市町村が抱えている市街地の拡散と過度な自家用車への依存状態を少しでも改善できるのでは考えられます。
当然、Suica導入のみでは直接的な利用者増等の効果は限定的ですが、一つ一つの改善の積み重ねが都市づくりには必要なため大きな一歩となります。
また、Suicaを導入することで利用者のデータを集めることができるようになります。現在の方法では断面利用者数しか分からないという欠点がありますが、今後は詳細なデータ分析ができるためダイヤ再編がより利用者目線になります。
最後に、役所を辞める最後の年にいわき市の今後の公共交通のあり方を示す「いわき市地域公共交通計画」の策定を新常磐交通さんや福島大の吉田先生と一緒に進めていた者として大変嬉しいというのが率直な感想です。
過度に自家用車に依存しているためか、当時はトップをはじめ庁内外で路線バス廃止論者が多数いる状況で苦しい思いをしましたが、ようやくここまで到達できたのかと思うと取り組んでよかった。計画を段階的に少しづつ具体化することで結果的に将来の市民を救うことにつながるはずです。
それではまた〜!