この記事では、いわき湯本温泉で人気のタイ料理カフェ橋本酒店のレビューと、いわき湯本温泉の現状をまとめてみましたのでいわき市常磐湯本地区で新たにビジネスを展開しようと考えている方の参考になるはずです。
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橋本酒店とは?
- 営業時間:昼11:00〜14:30(L.O)14:00, 夜17:30~20:30(L.O)20:00
- 定休日:月曜日、第3及び第5日曜日
- 駐車場有:店前3台、店裏3台
- 最寄駅:JR常磐線湯本駅(徒歩8〜10分)
- 最寄バス停:金刀比羅神社
*JR湯本駅前から湯本市内循環(外回りは10分又は内回り2分)、料金170円
いわき湯本温泉のあるJR湯本駅から南側、徒歩で8〜10分程度の位置にあります。
橋本酒店さんの店内ではタイ料理やタイビール、名物のスエヒロの黒カレー、コーヒー・デザートなどを頂くことができる市内でも珍しい店舗です。加えて「いわき湯本温泉」の旅館・ホテルに近いことから観光客の方も利用される飲食店となっています。
*ちなみにタイ料理に関する物販や本業であるお酒も購入することが可能です。
いわゆるタイ料理店というよりも、カフェに近くおしゃれな雰囲気なので女性客が多い印象です。
市内にタイ料理専門店が少ないこと、温泉街に近いこと、きれい・清潔・明るい店内などが店舗の魅力を上げていて、多くの方から選択されている理由なのかなと思います。
本題とそれてしまうのが、ここに飲食店ビジネス成功のヒントがあるのかと。
特にいわき市の場合には駅前の集客力が低下(今回、タイトルにしている湯本温泉も低下)しているのと集客装置が市内各所に点在しているため、飲食店経営は郊外型になりやすく経営も難しいものと思います。
橋本酒店さんの場合には、上記の選択される項目のどれか一つでも欠けていれば立地条件の不利さから選ばれ難いかったのかもしれませんが、店の魅力とそれをつくり上げているスタッフさんの努力かなと思います。
いわき市の一部の方からすれば「フラ」や「ハワイ」といった単語とは乖離していると否定的な方もいるのかもですが、雰囲気が良いですし、何よりも料理が美味しいです。
温泉の集客力が低下している中で、店舗自体が集客装置として機能しているまでになっているのではと思います。
ちなみにGoogle検索を行っているみると、フラの本場のハワイのホノルルには5店舗ほどタイ料理店がありましたからフラシティの中でのタイ料理というのもあながち間違いじゃないんだと思います。笑
ということで、いわき湯本温泉観光に来たら立ち寄ってみることをおすすめします。
なお、いわき湯本温泉がある湯本駅前には、この他にも、マイタイさんやハラル食堂さん、A家食堂さんなどが立地していますので旅館食では足りないという方は夜の街に出歩いてみてくださいませ。
では、ここからいわき湯本温泉でのビジネスについて考えていきます。
考え方について「それは違うよ〜!」、「わたしはこう思う!」という意見も歓迎します。いろんな意見があって然るべきなのがまちづくりなので、様々な立場・職種の方が「いわき湯本」の今後のあり方を考えるキッカケになればと思います。
あくまでも、長年、都市計画を経験してきた一人の一意見として扱って頂ければ幸いです。湯本でビジネスをやってみようと考えている方の参考になれば幸いです。
いわき湯本温泉の観光交流人口の推移
(注)出典先(UrbanPoleShift:https://iwaki-poleshift.jp)を明示の上、自由にお使いください。
いわき市が公表している観光交流人口(出典:いわき市内観光交流人口)によると、2003年(平成15年)には、いわき湯本温泉、スパリゾートハワイアンズ、石炭化石館をあせて2,508,416人(いわき湯本温泉の観光客数:568,544)だった観光人口が、2021年(令和3年)には、747,874人(▲1,760,542人、いわき湯本温泉の観光客数:185,615人)まで落ち込んでいます。
なお、コロナ禍前の最後の年となる2019年(令和元年)は、2,023,327人(いわき湯本温泉の観光客数:290,731人)であることからもここ10~20年かけて減少傾向が続いていることが分かります。
続いて、いわき湯本温泉観光客数のうち、福島県外及び福島県内の内数。宿泊客数の推移です。
最新の2021年(令和3年)においては、観光客数185,615人のうち、宿泊客数は114,335人、県内宿泊者は60,362人、県外宿泊者数は125,253人となっており、また特質する点としして、東日本大震災の2011年を契機として減少傾向にあります。
加えて、近年では新型コロナウイルスの影響を受けており更に観光客数が減少しています。震災後には旅館を廃業される方が数軒ありましたので、そうしたことも観光客数の減少の要因となっています。
直近20年間におけるピークは62万人、現在は11万人ですので差は51万人となります。
経済損失として単純計算すると、国土交通省(旅行・観光産業の経済効果に関する調査研究)によれば、2019年の日本人国内旅行の1人1回当たり旅行単価は平均37,355円ですので、19,051,050千円/年≒191億円となり、単純な消費額として捉えれば、ピーク時よりも年間で約190億円のほど経済損失をしていることになります。
この数値はいわき市の2018年GDP総額の1.4%にあたりサービス業が含まれる第三次産業のみの割合でみれば2.2%となりますから割合としては大きくないと捉えがち。
ですが、旅館・ホテルを含むサービス業を牽引する集客拠点が弱体化すると行政や金融などのサービスを除いて当該業全体が低迷する要因となるので数%であっても影響範囲は大きいです。
ちなみにスパリゾートハワイアンズの場合には、ピーク時に比べて利用客数が140万人/年減少しているので、先ほどの計算式(旅行単価を1/2として計算)に与えはめると約261億円/年も損失しており、いわき湯本温泉と合算すると約450億円/年となります。
結果的にいわき市内観光拠点である常磐地区の集客力が低下することで、それを支え・関連するいわき市内経済(農業・漁業・物販・飲食)に影響していく(関連する企業さんは既に影響を受けているはず)。
つまり、逆に見れば、このサービス業のGDP値を上げることが市民所得の増加につながるわけなので。となると、この分野を支援すればいいと、「行政や地域・企業の人達は何やってるの?」と疑問に思う方もいますよね。
あまりご存じ無い方もいると思いますが、現在、常磐地区では、常磐地区の中心である湯本駅周辺において行政と地域が一体となってまちづくりの検討が進められています。直ぐに再生拠点が出来るわけではないため、5~10年ほど待てば少しづつ集客力の回復に向かうとは思います。
とはいえ、回復基調を待っているうちに旅館・ホテルがより厳しい状態になりそうな…気もします。
早めの集中投資をして旅館・ホテル業に関連するサービス業も同時に引っ張り上げる必要性がありそう。
こちらの資料は福島県が公表しているいわき市GDP(名目)の内訳です。
いわき市GDP(億円) | |
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合計 | 13,314億円 |
第1次産業 | 125億円 |
第2次産業 | 4,323億円 |
第3次産業 ( )書きはサービス業 | 8,816億円 (37,165) |
実質ではないため年度間の比較を行うことはできないことから最新の2018年名目GDPの内訳で見て頂くと、いわき市GDPは第3次産業が多いですよね。
ただし、どの都市もほぼ一緒で3次産業の分類が多いため金融や不動産、行政サービスといったあらゆるものが含まれるため多く示されます。
いわき市が他市と異なるのは製造業を中心とする2次産業の割合が大きいところにあります。この表には他市のGDPを掲載していませんが、東北地方で製造業とサービス業の両方で稼いでいる仙台や郡山を除けば同様の傾向となります。
2次産業で稼いだ分が3次産業に分配されていくイメージです。
ですから、2次産業が弱くなったり人口減少が進めば、一人あたりの所得上昇という超奇跡が発生しない限りは、必然的に3次産業は影響を受けることになります。つまり飲食店や店舗でいえば廃業です。
一方で、逆の見方をすれば、観光業は市外からの外貨を稼ぐ手段として人口減少が生じても市内経済を支えるツールになるわけです。
ですから、人口減少が止められない状態になっているため、国も地方も必死になって関係人口の増加を図ることができる観光業に税投資する流れになっています。観光業が盛り上がればマクロ的にみても日本経済が活性化するので全体的に見ても良い方向に進みますよね。
ですから、人口減少が止まらない中では消費額を増大させる観光業に力を入れるのが成功法のように考えられます。
次に常磐地区の人口推移はどうなっているか。特に周辺人口や地価は賃貸料を決める上で重要なファクターなので、参考にしてみてください。
常磐地区・常磐湯本町の人口及び公示地価の推移
常磐地区の人口は1990年の約3.8万人をピークとして減少傾向にあります。
また、JR湯本駅周辺の常磐湯本町は炭鉱閉山もあっていわき市の市町村合併以前から減少を続けている状態です。
常磐湯本町については、単純計算で50年間で街の人口密度が3割程度となっているため、観光と居住が混在する湯本地区の賑わいは相当失われているはずです。半世紀前は人が歩いて賑わっていた商店街も人が歩かなくなっていて、かつ、観光客数もピーク時の3割ですから平日に歩いている姿は見られない状況ではと思います…
実際、平日の昼間・夜間での湯本駅前の歩行者数は少ないです。
ちなみに、全体の人口減少はなだらかな減少基調なのに街中だけ減少しているのは、自家用車の普及と核家族化、地価の高い街中を避け郊外での余裕ある居住スペース確保の観点から郊外に人口が流出してしまったことによります。
次に地価を見て頂くと、湯本駅前で1990年に1平方メートルあたり27.1万円だったのが、2022年には5.2万円と大きく減少していくことが分かるかと思います。
その後2000年にも20万円近くありましたので、2000年頃までの地価の高さが影響し、居住者が街中から離れてしまったと考えられます。
地価が高い場合、地価分の収益を生み出すために一般的に建築物を中・高層化しますが、湯本地区は狭小・狭隘な土地が多いのと、当時はまちづくり・都市計画に関する行政投資が郊外に目を向いていたために、常磐湯本町の人口減少をもたらしたものと考えられます。
これを街中への回帰を促して集客装置化するには「温泉」のみでは相当厳しいと考えられます。そのため、いわき市や地域ではワードとして「フラ」の注視しています。
>>>「フラシティいわき公式ページ」
いわき市のシティブランドは「フラ(Hula)」
2006年に公開されヒットした『フラガール』でいわき市やスパリゾートハワイアンズの知名度は上昇しましたよね。
また、その後、常磐湯本地区では女将が「フラ女将」で街のブランドを高める動きが加速したり、いわき市役所でもフラをシティブランドのイメージとして定着させようと、温泉とフラを掛け合わせて物販・飲食など様々な面で事業を行っています。
「フラ」といえば、一般的にはハワイをイメージします。
確かにいわき市は東北の中では温暖な気候にありますから、東北地方の中でもそのブランドイメージが正しいんだと思います(上から目線で気を悪くしたらごめんなさい)。
とはいえですが、今でも、「いわき市=フラ」ではなくて、「常磐地区=フラ」というイメージの方が大きいように考えている方もいるでしょうから、多くの方の理解を得ようとしがち。ですが、多くの方の理解を得ようとするとどうしてもエッジが丸くなってしまい魅力が低下しがち。
経験の浅い私が言えることではありませんが、おそらく徹底的にブランド力を強化していく方向に舵きりしていく方が、目的が明確化されて市民所得の増加にも期待できるんだろうと思います。
まずは、常磐地区の”温泉”と”フラ”という他市にはない貴重な観光資源に積極投資するときに来ているのかなと思うところ。湯本地区での若手起業家を支援する動きなんてものがあれば少し賑やかになりそうな予感です。
ということで以上となります。
>>>飲食店経営の厳しさを知ることが出来る本のリンク先を貼っておきます。読むといかに飲食店の参入障壁が低く、けれど経営が難しいのか書かれています。経営時の危機感がダイレクトに書かれているので飲食店を始める前に読む教本みたいな扱いになっています。
ということで以上となります。こちらの記事が参考となりましたらシェア等して頂けますと幸いです。
それではまた〜〜〜♪